第8話 良いとか悪いとか決めるのは見てからだ
『僕らが保健室出身のワケ』8話
僕、ダイゴ・ジェームズが夢のためにしている努力は日本語の勉強と歌詞を書くこととギターの練習である。
僕が日本語に興味を持ったのは、日本のアニメがきっかけだった。その中でもハイキューとデュラララ!!というアニメが好きだった。ハイキューを見てスポーツの素晴らしさを知り、デュラララ!!を見て池袋という場所に憧れを抱いた。
高校1年の春の自己紹介で披露した『よろしくおねがいしゃす!』はハイキューを見て言ってみたことだったけど、それはアニメの中で成り立っていることで、実際にやるものじゃないなって実感した。
僕はよく歌詞を書いている。
テーマは夢と希望を元に書いているけど、日本語ってほんとに難しい。
今僕がほとんど歌っている歌はカバー曲ばかりである。
僕の十八番は、菅田将暉さんの『まちがいさがし』である。
学校という世界で僕が生徒Aじゃなくて、ちゃんとスポットライトが当たってて名前のある主人公だって思える歌でもあると感じられる、それが『まちがいさがし』って歌だった。
歌の練習先は、カラオケかお風呂でやってる。
僕は今まで人前で歌ったことがあるのは、この前の保健室でだけだった。
それが、山川連司くんの紹介で今度、ライブハウスで歌うことになったんだ。
ただ、人が集まるか分からないから人を呼ぶ為に学校でビラ配りしていたんだ。
知らない生徒にビラを配るのは正直勇気もいるし、僕には無理だと思った。でも、山川連司くんが言ってくれたんだ。
『下なんて向くなよ。俺がついてるし、最悪お客は俺の連れを連れてくるからよ。ダイゴの歌は世界一だって俺は保証するからさ、大丈夫。出来るよ、なっ!』
良かったら来てくださいとビラ配りをするのは、とても緊張した。
でも、山川くんがいるだけで緊張が2倍だったのが4分の1に減った気がする。
もらったビラをその場でぐしゃぐしゃに潰す最低な人もいたけど、ちゃんと受け取って来てくれると言ってくれた人もいた。
用意していたビラは全て配り終えて、後はライブの日に来るのを待つだけだった。
一緒にビラ配りをした山川くんは先生に怒られていた。
ビラ配りをすることは規則違反をしていたからだった。でも、山川くんは先生に無理を言って配り終えるまでは何もしないでくださいと言っていた。
山川くんは僕に向かって手を振って、小声で『あとは俺に任せろ』と言って先生と一緒に生徒指導室へと行ってしまった。
その後、ライブの日になり、ビラを見て来てくれた子は13人だった。
冷やかしできていた子もいたが、ギターしながら歌ったカバー曲の『まちがいさがし』優里さんの『シャッター』『ドライフラワー』たかやんさんの『社不でもおっけー!』の4曲と自分で書いた曲『planet』を披露した。
最後まで13人が僕の声を聴いてくれて、感無量だった。
ライブが終わった後は、ビラを見て来てくれた子が写真を撮っていいかと聞いてきたり、またライブをして欲しいと言ってきてくれたりして、僕は嬉しかった。
僕に近づいて来た子の中で、ある生徒が文化祭で軽音部が主催を務めるコンサートに飛び入り出演して欲しいと言われた。
今よりもコンサートを見る人数は多いのに、僕は自分に出来るか分からないけど挑戦してみたくて文化祭のコンサートに出演することになった。
次はダイゴ•ジェームズが文化祭のコンサートに出演する話である。
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