第6話 人に相談する大切さ
『僕らが保健室出身のワケ』6話
これは仏のような田島先生に山川連司が怒られた時のことである。
俺のこと覚えてる?1話目に登場した山川連司です。俺はいつも電車に乗って高校まで行きます。満員電車が通り過ぎるまで待って、学校には遅刻する時間帯の10時半に電車に乗ります。学校では問題児だって分かってても他の人に迷惑だって思われても学校に通ってます。でも、今日は教室に入る元気がないので、保健室登校をします。
保健室に来てる常連組はみんな俺よりひとつかふたつ年下だけど、みんな仲間です。
今日は久しぶりに田島先生に会います。
今日来た時間に他の仲間はいないみたい。
山川連司は『先生!』と呼ぶようにガラガラと音を立ててドアを開けた。
先生は驚きもせず、声を出した。
『山川くん、久しぶりですね。今日は教室ではなくこちらに来たんですね。何か気分の変化でもあったんですか?それともちょっと寄りたかったのかな。何もなくてもいていいですからね』
そう言った先生の言葉に山川くんは答える。
『先生、凄いっすね。スーパーサイヤ人みたいっす、俺の心が分かるんですか?俺実は考えていたことがあって、学校でも家でもダメ人間ってカテゴライズされていてそれに嫌気がさして、思い切って高校辞めようと思ってて...それで、先生には本当お世話になったなって、本当ありがと...』
山川くんの言葉を遮るように先生は立ち上がり強い口調で言った。
『山川くん‼︎ 山川くんはちょっとずつ変わってきているんだよ。私はこの目でずっと山川くんを見てきたから分かる。誰かにダメ人間とカテゴライズされたって、個性はそれを跳ね除ける力があると思うんだ。今はとても苦しくて、しんどいかもしれない。でも、辞めたことを後悔することが来ないように高校は辞めないで欲しい。一生分のお願いをかけるなら、今賭けたいぐらいなんだよ』
俺は田島先生の言葉に言葉打たれたものがあった。田島先生なりの優しい怒り方に俺は考え直した。
そして、俺は田島先生の言葉を心の中で噛み砕いて自分の心に搭載した。
その場で田島先生に伝えた。
『田島先生、俺をちゃんと見てくれてありがとうございます。俺、俺...負けないっす。学校でも家でも俺を貫きます。問題児が優等生になるまでを見ていてください。俺、今の自分を変えていきますから。一時の迷いに付き合わせてしまいごめんなさい。俺、俺なりに頑張って卒業しますから』
その言葉を聞いて、田島先生はホッとしたのか手をあおいで言った。
『少し熱いこと言ってしまったわ。あーもう恥ずかしいわ。でもほっとした』
そんな先生に山川くんは言った。
『先生に相談して良かったっす。自分だけで決めないで良かったっす。ありがとうございました』
先生も山川くんもなんだか熱いですねと言った。そのうち昼食の時間になった。
山川くんは『そろそろ教室行きます。ご飯の時間なんで、それじゃありがとうございました』と言い、保健室を足速に出た。
田島先生は部屋が暑いと感じ、部屋の温度を1度下げたのだった。
そしてポツリと独り言を言った。
『ちゃんと伝わって良かった』
そして次に保健室に来る生徒を待っていた。
次の話は橋本京香の小説について花岡美咲と話す話である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます