第3話 初めましての自己紹介は苦手

『僕らが保健室出身のワケ』3話


『Hello! 僕の名前はダイゴ•ジェームズです。僕には夢があります。僕の夢はカシュニナルコトデス。よろしくおねがいしゃす』

高校1年生の春、馬鹿にされた僕の自己紹介である。

まだ日本語が上手くない時の高校1年生の時の僕である。僕はこの自己紹介のせいで、クラスメイトはみんな僕をバカ君と呼んだ。高校1年であだ名がつくとそれは死を意味する。ずっとそれが僕の名前になるからだ。僕は自分がどうでも良くなり、ある日髪を青に染め、ピアスを開けるのが怖かったからイヤリングをした。高校1年生の夏休みになる前、僕を馬鹿にしたヤツより僕は身長が伸びて、高さで僕は相手を言い負かしていた。

別に自分の見た目を変える必要なんてなかったって思った。

周りは僕をバカ君から王様と呼んだ。

王様になったつもりはない。

ただ身長が相手より勝っただけで、あとは僕がもともと強かっただけの話さ。

王様と呼ばれた僕に叶うやつなんていなかった。でも、僕は王様と言うほど、ジャイアンでもなかった。

高校1年の冬、僕は王様を降りて平民になった。

のっぽの平民に新しい王様は僕を空気として扱った。

そう、いわゆるいじめだった。

僕が王様の頃は何もしていなかったことを、新たな王様は僕をいじめてきた。

その結果、僕がどうなったわかるよね。

そう、保健室登校になった。

保健室に入れるだけでもまだマシな方かもね。

高校2年生の春、また訪れるのは2年目の初めての自己紹介だと思う。

でも、高校2年生の自分にそれは訪れない。

今日、僕がいるのは保健室だから。

今日は保健室でミニコンサートをする。

お客さんは、友達と先生だ。

僕の夢は歌手になること。

今は小さな会場だけど、いつかは大きな会場でコンサートをしたい。

友達からの誘いで、僕のコンサートをYouTubeに載せている。

もちろん、再生回数は数百回だけどね。

保健室の中だけは、僕は流暢に日本語を話してる。

教室での僕は空気だから、喋ることは少ないしほとんどカタコトを貫いてる。

保健室の先生である田島先生は良いことをいっぱい言ってくれる、例えば。

『ダイゴくんは、綺麗な歌声でみんなを魅了してくれる。それはとても大切なことだよ。誰になんと言われようと自分を貫いてね。応援してるから』

そんな言葉に僕は嬉しかった。

彼が嬉しかった言葉は田島先生だけでなく、保健室で出会った友人の1人である橋本京香の言葉もそうだった。

彼女は言葉に詰まりながら話した。

それをダイゴはゆっくり聞いていた。

『私は...今の...ダイゴの書いた詩も好きだし、歌も魅力があって好き。だから、いつか有名になっても私たちのことは忘れないでね』

それを聞いてダイゴは嬉しかったのだ。

次はそんな彼に言葉をかけた橋本京香について話そう。



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