第2話 保健室を利用したい僕
『僕らが保健室出身のワケ』 2話
久郷正人(くごうまさと)くん。
ネクタイをバッチリ締めて、角刈りで背の高い男の子だった。彼は石破高校では珍しいいつも制服で来る男の子だった。
石破高校には制服が一応あったがほとんどの生徒が自分の着たい服を着て来ていた。
彼が保健室を利用し始めたのは、高校1年の冬だったそうだ。
彼は体育の授業で怪我をして、保健室を利用した。その時保健室の先生である田島先生が優しく言ったそうだ。
『怪我はそんな大したことないけど、また何かあったらいつでも来てね。ここは敷居の低い誰でも来れる場所だから。』
それを聞いて、久郷くんは『ハイ』と言った。
その日から久郷くんは、度々体調不良を理由に保健室を訪れるようになった。
保健室の田島先生は何も言わずに彼をベットで休ませた。
久郷くんは田島先生にこんな事を言ったらしい。
『僕は真面目すぎるのでしょうか。周りからはもう少し遊びが必要だと言われました。真面目を真面目と捉えすぎるなとも言われました。でも、今の自分は直せません。授業じゃないところで先生にそう言われてから、授業中胸が苦しくなるんです。どうしたら良いんですか。』
田島先生は彼の目を見て言った。
『じゃあ、真面目な部分が必要な時に真面目な所がなかったらどうするの? 久郷くんの真面目な所、私は良いと思うよ。今は休もう、また胸が痛くなったり、頭痛くなったら、保健室に来ても良いんだよ。それに、何も痛みがなくても来ていいからね』
久郷くんは涙を拭きながらハイと返事をしたそうだ。
久郷正人くん、彼は真面目をモットーに生きてきた。だが、それを授業後先生から馬鹿にされた。その事が原因ではなく、友達からもいつも制服で来ることに対して、真面目すぎると言われて気にしてしまった。
それから、学校が怖くなった。人と会うのも怖くなった。
でも、親は彼が普通に学校に通っていると思っていた。実は、学校が嫌で保健室に行っている事を言っていなかった。朝は私服に着替え、ゲームセンターに入り浸り、昼は制服に着替え学校の図書室で勉強していた。帰りに少し保健室に寄り、田島先生に会ってから帰っていた。
三者面談で親は初めて久郷くんが授業に参加していない事を知った母は、久郷を叱らず、抱きしめた。
久郷正人くんの今の生活でやって行こうと母は言った。
久郷くんは嬉しかった。
石破高校は保健室登校でも出席と認めていたため、留年はまぬがれたのであった。
そんな久郷くんと仲が良かったのは、同じ保健室登校のダイゴ•ジェームズくんだった。
次はダイゴ•ジェームズくんの話をしよう。
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