第1章 保健室が僕らの居場所
第1話 学校に行くまでのこと
『僕らが保健室出身のワケ』 1話
『美咲ー、今日は学校行ける?』
母は私にいつも今日学校に行けるか聞く。私にとって学校は居場所ではない、だから行くのは学校ではなく学校のなかにある保健室である。
私は母に答える。
『うん、今日は友達に会えるから行く』
母は安心したように『そう』と言った。
私には保健室という場所に同じような違うような理由で保健室に集まる子たちがいる。
その中で友達になった子がいる。
私はその子に会うために学校という場所へ行く。
今日も8時に家を出た。
そこから電車に乗る、だけど。
私は電車も嫌いだ。
今日は久しぶりに保健室の知り合いに駅のフォームで出会った。
茶髪で舌にピアスを開けている山川連司くんだ。
彼は見た目は奇抜だが言っていることはまともだ。
先生に嫌われてはいるが、彼は学校が好きらしい。
今日は特に電車が混んでて乗りたくないと思ったが乗った。
連司くんが壁になって私が倒れないようにしっかり守ってくれた。
石破駅に着き、連司くんは言った。
『大丈夫だった?電車って俺嫌い。美咲ちゃんもそう? 俺さ、タバコで停学になったけど学校の授業も先生たちのことも大好きだし、ここが自分の居場所だって思うんだけど、それは自分が思っているだけで、周りは問題児呼ばわりで、これが自分って言ってもわかってもらえないんだよね。俺がまじめに黒髪、ピアスなしだったら良かったのかな』
私は彼に言う。
『それじゃあ、連司くんじゃない人になっちゃうよ。私は今の連司くんが1番好き。勿論友達の意味での好きだからね、連司くん今日は保健室来る?』
連司は照れながら言う。
『今日は久しぶりに授業出るよ。他の先生にも迷惑かけちゃったし、それに心機一転して新しいピアスにしたから、それも先生に見せたいな。それにしても今の学校って自由だし、イイよね。ピアスも髪染めもオッケーなんてそうそう無いよ、高校受験頑張って良かった、じゃあ、また保健室で』
『うん、またね。』
私の通う石破高校はピアスも髪染めもオッケーで偏差値68の高校だった。
でも自由化が行き過ぎて何人か飲酒やタバコで停学になる子が多かった。
山川連司くんもその1人である。
他の子と違うのは、問題児と言われるくらい目立ってしまったことである。
彼は成績も優秀で次期生徒会長とも言われていたが、高校2年生の春、塾の友達からもらったタバコをきっかけに悪いってかっこいいと思ってから、爆発してしまった。
学校という場所で自由を肥やしにした。
周りはそんな彼の姿を受け入れられず、彼を問題児扱いした。
彼曰く、将来はアメリカに渡りたいから大学に行くために久しぶりに勉強するらしい。
そのために、タバコは禁煙するらしい。
そんな彼の夢を私は応援している。
彼と私が愛用する保健室の話をしよう。
保健室にいつもいるのは久郷正人くん。
彼の話をしよう。
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