ミネルヴァの過去 その1
~皆と別れたあと~
「ミネルヴァさん!」
「アルス……? 一体どうしたんだい?」
アルスは皆に説明を終えた後、いつもと違う様子のミネルヴァが気になり、声をかけにいった。
「あぁ、えっと」
やべ。話しかけた理由なんも考えてなかった。
ただ、心配だから後を付けてきたって?
何があったわけでも無いのに?
アルスは声をかけた理由をその場で考え始め、居心地悪そうにその場でもじもじと身を動かすと、心配そうにミネルヴァを見る。
「もしかして……、私が心配で後を付けてきたのかい?」
ギクッ。
後を付けてきたことも、心配してる事もミネルヴァさんにはお見通しか。
「その……はい……」
アルスは観念する。
そんなアルスを一目見たミネルヴァは。
「ふっ、なんだい。今日の私はそんなに変だったかい?」
「いえ……」
いや、ここは本当の事を言った方がいい。それが真の仲間ってもんじゃないか。
「……今日のミネルヴァさんはいつもより、余裕が無いというか……。聖、魔武器の話をし始めた頃から急におかしくなったなと……」
アルスは仲間に隠し事はしたくないと思い、改めて言い直す。
するとミネルヴァは参ったと言わんばかりに苦笑し。
「……ふー」
ミネルヴァは視線を下げ、大きく深呼吸をする。
「アルスには嘘は付けないね」
そして、悲しそうな面持ちでアルスへと答える。
やっぱり……
アルスは自分の勘が当たっていた事に少しホッとするが、何故ミネルヴァの様子がおかしかったのか再度考え始める。
そんなアルスを複雑そうな表情で見つめたミネルヴァは突然、近寄ると。
「ちょっと私の部屋へ来てくれるかい?」
アルスへと声をかける。
「えっ? あっ、はい」
アルスは驚きを見せながらも返事をし、あれよあれよと話は進み、ミネルヴァのあとをついていく事になったのだった。
~ミネルヴァの部屋~
アルスは30以上ある来賓部屋の中の1つ。現在はミネルヴァの個室としてあてがわれている部屋の前へと来ていた。
ちょっと入りずらいな……
アルスはミネルヴァの部屋の前で緊張からか、硬直し、立ち止まっていた。
「どうしたんだい? そのまま入ってきな」
アルスの異変に気が付いたミネルヴァは部屋に入ってくるよう促す。
しかし、アルスは声が届いていない様子でその場から動かない。
「もう、どうしたんだい。ほらっ」
するとアルスのじれったさに痺れを切らしたミネルヴァが近づいてくると、手首をグイっと掴み、部屋の中におびき寄せた。
「わっ! し、失礼します…」
女性の部屋に入っちゃったよ……
アルスにとって、女性部屋は未知の世界。
ポーカーフェイスが上手い男、アルスでも驚きを隠せない様子で、ガチガチのままミネルヴァが用意した椅子に座る。
そんなアルスをよそに、部屋に備え付けてある紅茶入れへと向かっていったミネルヴァ。
「紅茶でいいかい?」
そして、紅茶を入れ始める。
「はい。ありがとうございます」
それにしても……
アルスはミネルヴァへと視線を向け、ある事を考えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます