王都奴隷オークション開幕 その1
アルス一行は王都奴隷オークションが開催される建物へと入って行くと、受付にいた従業員がアルス達に気がつき、足早に近づいてくる。
「アルス様ですね。ガイル様よりVIP席までお連れするよう言い付かっております」
ここまで準備していてくれたとは。お父様に感謝だな。
「えぇ、お願いします」
「では、VIP席までお連れ致しますね」
従業員は、アルス達を連れてVIP席へと移動する。
今回オークションにかけられる 奴隷たちかな?
移動中のアルスの視線の先には、並べられた奴隷たちを囲む、人の姿があった。
「人が多い。奴隷たちはこんな風に並べられていたんだな」
ゲームとは違う点を見つけ、興奮する自分を抑えるアルス。
今回の会場では、オークションにかけられる奴隷達(安い人たち)が受付から本会場に移動するまでの間に並ぶように鎮座している。
出品される奴隷たちの情報などは、事前に告知されないため、この場でどのような奴隷が出品されるかを知れる事となる。そのため、多くの客はオークション開催時刻まで、これらの奴隷達を見て時間を潰す。
今回は見た目重視の奴隷が多いな。
アルスはVIP席に移動する最中。奴隷達に目を向けながら進む。
それもそうか。今回集まった人たちの多くは貴族や商人等の金持ちばかり。そのような人たちは能力重視よりも、見た目が良ければ購入してくれる人ばかり。
そりゃ、こういう奴隷たちを準備した方が金額もつり上がりやすくなり、主催者側にとっても嬉しいもんな。
「こちらが11番部屋のVIP席です」
もう着いたのか。
別の事に気を取られていたから、VIP席まで移動していたことに気がついていなかった。
「何かございましたら部屋の外にいる係の者にお声がけください。あと、オークションの参加方法はご存じでしょうか?」
もちろん分かるが……
ここで答えると何で知っているんだという事になりそうだったため、面倒なこと避けたいと考えたアルスはエバンを見やる。
「はい。分かります」
頷くようにエバンが答える。
「分かりました。では、ごゆっくりどうぞ」
従業員は一通り部屋に以上がないかを確認したのち、VIPルームを退出していく。
「ここがVIP席か……」
「流石アルザニクス家だね。こんな部屋を息子のためとはいえ、簡単に用意してくれるなんて」
ミネルヴァが部屋に備え付けのお酒類を物色しながら答える。
「私も驚いてます。VIP席って言うぐらいだから、普通席よりもちょっと広いシート席が人数分準備されてるだけかと思ってたので」
アルスは思っていた事を口にする。
「そうですね。あと……、この部屋もそうですが、オークション会場自体がとても大きいですね。外観はここまで大きくはなかったと思うのですが」
エバンも驚いているようで、辺りを見渡しながら疑問をぶつける。
「それはこの会場が地下に作られているからだよ。みんなは気づいていたか分からないけど、ここまで来るのに下りの階段や道が多かっただろう?」
「そう言われてみれば確かにね……」
ミネルヴァも同じ疑問を持っていたのか、アルスの答えに納得する。
「それにさ……、二人とも! こっちに来てみてよ」
いつの間にかガラス張りになっている場所へ移動していたアルスが、興奮気味にエバンとミネルヴァを呼ぶ。
「一体どうしたんだい? そんな興奮して……、これはすごいね」
そこには、衝撃的な光景が待っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます