第4話

 次の日は休日だった。

 3日仕事をすれば休みというローテンションだ。

 早速、市場調査をして物の価値を調べたい。

 だがそれには問題がある。

 タイムカードしか持っていない。

「給料は何処にあるんだ……」

「そのカードを金融ギルドに持っていくと返金してくれるよ」

「ありがとう、助かった」

 いい先輩だ。

 何でも教えてくれるし、皆が優しい所は居心地がいいよな。

 

 街に戻ると直ぐに金融ギルドに向かった。

 支店が各地にあり直ぐに見つかる。

「どうも返金して欲しんですが……」

 受付に立っているのは中々の美人だ。

 微笑みタイムカードを確認してくれた。

「えっと、初めての利用ですね?」

「はい、初給料で……」

「現金を持ち歩くのは危険です。

そこでマネーカードを作りませんか?」

 異世界でもキャッシュレスなのか。

 小銭の貯金箱が一杯になるとかなり重い。

 その点カードなら幾ら稼いでも、重量が増えることはない。

 集めるという点では視覚的に見えず実感が湧きにくいと言う気持ち的な問題はあるが……。

「お願いします」

 後カードは幾ら持っているのかが分かりづらいのが難点なんだよな。

 特に細かく使っていくうちに予想よりも多く消費していたってこともある。

 ある程度、気にならない額の貯蓄は欲しいよな。


 カードは直ぐに作れるらしく、しばらく待っていると持ってきてくれた。

「確認ください。

このギルドの刻印がある店ならどこでも使えます」

 天秤に月と太陽が乗っている刻印だ。

 月と太陽が釣り合っていると言うのは違和感がある。

 明らかに太陽のほうが大きいし重い。

 ここの人達は宇宙の存在も知らないのだろう。

 だから見えている大きさで判断しているのだろう。

「どうやって残額を確認するのかな?」

「すぐ横においてある水晶に近づけると見えます」

 カウンターの上に水晶玉が並べておいてある。

 ただの飾りじゃなかったんだな。

 試しにおいてみると水晶に550と表示された。

「550……、500じゃなかったのか?」

「新規登録されたお客様には50ポイント付与するイベント中です」

 1割増って中々幸先良いじゃないか。

 運が向いてきている気がする。


 そんな幸運感はすぐに消え去る事になる。

 焼きたての美味しそうなパンの匂いにつられて店の棚を覗く。

 パン一つが100、勿論一番安いやつだ。

 たったパン5個分……。

「お小遣い程度なのか、絶望的だ……。

これならサビース残業していた前世のほうがマシだ」

 はぁ……、子供だから低賃金でも怒らないと思っているのだろう。

 絶対に許さない。

 そうだ武器は一体どれぐらいの価格なんだろう。

 すぐさま武器屋へ向かった。

 剣は中古のボロボロな奴でも数十万だ。

 新品は桁が違う。

「高級車並みじゃないか……、五千万とか誰が買うんだ」

 ナイフでも十万ほどで、とてもすぐに買える額ではなかった。

 母が青ざめたのは、高くて買えなかったからなのだろう。

 待てよ、原材料費が1割としたら一万。

 成果に対して支払うとして約束を得ている。

 これは勝ったな。

 鉱石を精錬して不順物を取り除いても半分にはならないだろう。

 ナイフ分ぐらいは確実に取れる。

 つまり絶対に500は軽く超える。

「もっと頑張って働く。

一気に稼いで買うぞ!」

 決意を新たに頑張ることにした。

 だがその考えは甘かった。

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