NO.10 怒りの音
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わたしが(いつものように)高校の校長室に着いてから十分が経った。
……なんでだろう?
校長室に来るのは姉の方が早いはずなのに、
十分経ってもまだ来ない。
(もしかして……)
「……スズ姉の身に何かあったのかも……」
「僕も似たようなことを思ったよ。
まず、彼女に限って連絡もなしに来ない、なんてことはないだろうし……」
三澤校長も心配してくれてるみたい……
「……この前、
教室の机に突っ伏して寝ていて
来なかったときもあったから、なんとも言えないなぁ……」
「あ、そんなときもありましたね……」
あのときのスズ姉の寝顔、かわいかった……
はっ……いやいや、スズ姉の心配をしていたんだった。
……真面目に考えるべきだけど、なんか、ソワソワする……
なんて言うか……嫌な、予感?……がする……
― 二人の心配をよそに、
部屋の外から、どこかの教室の扉か窓……
もしくは両方が、ガダガダと軋む音が聞こえてきた。
「!?」
わたしは(心配していたこともあって)
驚きでソファの背もたれから、勢いよく体を起こした。
「何かあったんだろうね」
数秒前のゆったりとした口調とは打って変わって、
落ち着いた声音で三澤校長は言った。
「僕は見に行くけど、菖蒲ちゃんはどうする?」
……そんなの、決まってる……!
「もちろん、わたしもいっしょに行きます」
「わかった」
三澤校長はわたしがそう返答することをすでに予想していたのだろう、
潔く承諾し、
真剣な面持ちでお互いに頷きあった。
急いで扉を解放し、
廊下に出たのち走って目的地に向かい始めた校長先生のあとを追って、
わたしも廊下に出る。
そして、今もなお聞こえる、
風が壁に叩きつける音の方へと走り出した ―
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