NO.8 姉妹
「……戦闘終了だね」
魔法を放った後、そう呟いた。
呪術師が地面に仰向けで倒れている。
そして、そんな呪術師の周りには
いつの間にか来ていた魔導大図書館の役員達が集まり始めている。
私は役員に状況説明をした。
「……やりすぎですかね?
……あ、そんなことないですか?
よかった」
―状況説明とは関係ないことも話していたが。
手袋を脱ぎながら呟く。
「ふぅ……疲れた」
「スズ姉!」
「あれ?アヤちゃん、何でここに?」
その応答の返事は抱きしめられるという行動によって返された。
抱きしめられた私は目を見開いた。
「……アヤちゃん。
危険だから待っててって言ったのに……」
その言葉は怒った口調で発せられることはなかった。
疲れていることもあるが、
毎度毎度心配させているのだ、
彼女の気持ちも、
何となくわかる。
戦闘が長引くといつも心配して駆けつけてくれる。
……逆の立場だったら私も同じことをしているだろうか。
彼女も魔導大図書館の役員の一員だ。
しかし、
彼女と共闘することは様々な観点でみて危険だ。
高校生以下が魔法を使うことはいいことなのか、
魔法を上手く扱えるかも分からない。
― 一応、任務を遂行するためにならば
魔法を使ってもいいことになっている―
「あとは役員さん達に任せてきたよ。
だから帰ろう?
……お叱りなら家で聞きますから、ね?」
「……うん。ケガとか、大丈夫?」
「無傷だったよ。
……今日は急いで夕食を作らないとね!」
「はい!アヤ、お手伝いします!」
「っ……!
(小声)満面の笑みは反則だって……」
「?」
あの状況の後でいつもの日常に戻ることのできる彼女たちは、
果たして普通の姉妹なのか。
―それは
彼女たち自身しか知らない
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