裏切者の魔法使い

NO.2 世界観(part1)

スズナは今、最先端技術や農業、

何でも停滞し続ける時代を生きている。

―百年前

百年前の人々は、いつものように生活していた。

インターネットを活用して生活していたり、携帯電話で会話をしたり、

年賀状や手紙を友達と交換していた。

―百年後もそれらの様式は顕在けんざいしている。

だが、それ以降進歩していないというだけだ。

しかし、その生活はある日から変わってしまった。

―なんの予兆もなく、それは突然起きた。

地震のようなもので世界全体が揺れると同時に、

街の人々が苦しみ出した。

そして、いつか都心であった日本の街に、

異形の化け物が現れたのだ。

それは百、千……いや、一万体以上も出現した。

化け物たちは逃げ惑う人々を、建物を、続くはずだった平和を、

たった十分で地獄へ突き落とし、破壊し尽くした。

そして、化け物が出現したと同時刻、

ある一人の男性の手から

目で見ることの出来るエネルギー弾のようなものが放たれた。

その男性の近くにいた人々も、

その男性自身も、その状況が理解出来なかった。

その男性が放ったエネルギー弾は、

ビルの壁に直径二メートルにも及ぶヒビをつくった。

男性は、壁からパラパラと落ちるコンクリートの破片を、

顔を驚愕の一色に染めながら、

呆然と見ることしか出来なかった。

化け物が出現し続けると同時に、

その男性の他にも『エネルギー弾のようなもの』を放つ者が続々と現れた。

―それは目まぐるしいほど早く、

『化け物』や『エネルギー弾』、現象などの

本質を突き止める為にだけ世界は回りだした。

「最先端技術の進歩」という未来は置いていったまま―

―そして時は元に戻り、二百年後のスズナが生きる時代。

『エネルギー弾』の正体は明かされた。

そして、それは―

『魔法』と名付けられた。