NO.3 世界観(part2)

人類が今までの技術の進歩を投げ打ってでも見つけ出したモノ、


それらは新たに出来た『文明』そのものでもあったのだろう


―魔法を使えない者も、


それと似たようなモノを使える時代に百年後はなっていた。


ある程度訓練をすれば使用可能であり、


「エネルギー弾を打つ」というイメージのしやすい媒体


(主に銃や本である)を用いて発動はつどうすることが多い。


その力を『魔術』と呼んだ。


魔術は誰でも使用可能であるが、


魔法は限られた人のみ使用可能である。


魔法は、後天的に使用可能になるとか……。


そして、使用する人をそれぞれ、


『魔術師』『魔法師』と呼んだ。


魔法と魔術はどちらも同じエネルギー弾であるため、


本質的な違いはなく、


エネルギー弾の放ち方かたや利点、欠点が異なるだけである。


百年が経った今でも、


なぜ魔術や魔法が突然現れたのかは分からなかった。


また、どういう理屈で発動しているのか


―これまで研究されたため発動の条件は分かるが、


発動の理屈は分からないのである―


という謎もあった。



世間の魔術師は、魔法師に対して不満を持っている。


「魔法師は魔術師よりも、優れている」と。


魔法師も魔術師に劣る、


欠点といえる『代償』があるのだが、


魔術師がそんな事を知るはずもなく、


魔術師は魔法師に畏怖・嫉妬・嫌悪の感情を抱いている。


そのため、魔法師は、魔法師であることを隠し、


『一般人』として生活する事を強いられているのだ。




(魔術師と魔法師がうまく共存出来る世界になれたら、


なにか変わるのかな……)


つい、いつもの癖くせでボーッとしてしまう……。


校長室のソファに座りながら、


昔から今日まで伝えられてきた時代の歩みを思い出していた。


今は、アヤちゃんと校長が二人で談笑している。


だからこそ、私は一人で考え事をしていたんだけども……。


―今、この校長室には魔術師がいない。


―そう、三人ともが魔術師でも一般人でもないのだ。


「そうだ、スズナちゃん、


頼まれていた物を持ってきていたんだった。


はい、どうぞ」


不意に校長が話しかけてきた。


(いや、今頃渡すのか……)


まぁ、校長が来てから三十分しか経っていないが。


(校長もちょっと、ボケてきているのか?


いや、この人のことだからボケなさそうだけど。)


「そうでしたね、ありがとうございます」


彼に失礼な事を思いながら、それを受け取る。


私が手にした物は―



―スーパーのチラシだった

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