第3話 糞のような種族である。



     〇



 飢餓きがは、かなり抑えられることに成功した。

 次は本格的な肉体の鍛錬と、技術の修練だ。

 体を鍛えて、技を身に着ける……強くなる近道だ。

 ゴブリンは生物の中では貧弱ひんじゃくのカテゴリーとして捉えられてはいるが、武装していない人の大人を殺すくらいの腕力はある。

 しかしながらゴブリンの性根しょうねが楽をして他人の物を奪い生きていくというのが根幹こんかんに存在し、そもそも努力なんてことをしない生物だ。

 他者の頑張りをあざ笑い、無駄だ無駄だと煽り立てる。

 くそのような種族である。

 その頑張りに幾度も殺されかけていることに気が付かないまま、奴らは変わることがないのだろう。


 俺は、そうならないように努めるだけだ。


 投石から始める。

 的に百発百中することから始めよう。

 群れからは遠く離れて生きているから、からかわれることもない。

 とにかく、鍛え続ける。

 それができるようになったら、次は狙った場所へ当たるよう切り替えていく。

 ただ、当てるだけじゃ意味がない。

 この投げる石が、やがて鋭利えいりな刃物や殺傷さっしょう能力の高い道具へと変わるのだから。

 その時に望んだ場所に投げられず、命を落とすことになっては目も当てられない。


 繰り返す。


 ただ、成すべきことを為す、そのために。

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