第3話それは魔法少女というには残虐である。

格好に多少の不満があるがこの化け物に対抗する手段を手に入れる事ができ反撃開始といこう!

「ぬいぐるみ…使い方教えて?」

「えぇ!こういうのって教えなくても出来たりするんじゃないんですか!?」

悪かったわね。

魔法については天才じゃなくて…。

ぬいぐるみの嫌みに気を取られ魔獣の攻撃に反応するのが遅れ間に合わないと分かりながら回避行動をとる。

「危ないじゃないですか!もっと集中しないと殺られちゃいますよ!!」

ぬいぐるみからヤジが飛んでくるがそんなことよりもあの状態から避けることが出来たのが驚きだった。

いつもの自分とは違いより力強く地面を蹴り身体も身軽でいつもの訓練には感じることがない新しい境地へと至るのを感じた。

「ぬいぐるみいいから魔法の使い方教えて!今までのこと謝るから!!」

「しょうがないな…魔法に重要なのはイメージだよ!魔力を物体や現象をイメージしてその名を言えばいいんだ!例えば盾をイメージしながら『シールド』と叫ぶんだ!」

突進してくる魔獣に対して使ってみることにする。腕を突き出しながら盾をイメージして叫ぶ『シールド』とすると半透明の盾が現れ魔獣の攻撃を防ぐことに成功する。

「よし!そのまま反撃しよう!するんだ魔力を固めて砲弾として飛ばすのをイメージするんだ!」

ぬいぐるみが調子に乗って指示を出してくる。

シールドを維持して距離をとり指示どおり砲撃をする。

グゥォーーー!

魔獣が雄叫びを上げて暴れ始める。

ダメージは受けているようだが致命傷には至っていないようだ。

「もっと魔力を込めて大きくするか光線として撃つかすれば倒せるかも知れない!アイちゃん魔力を溜めるんだ!」

ぬいぐるみは戦うことしないくせに指示だけはしてくる。

といっても魔法使いとしての戦い方を良く理解してない私が文句を言っても状況は好転しない。

「分かった。やってみる!」

さっきと同じ要領で魔獣の攻撃を『シールド』で防御し先ほどよりも魔力を使い砲撃の威力を上げる。

今度こそこの魔獣をあの世に送る!

だが、砲撃をする前に魔獣尻尾が伸び『シールド』を避けて攻撃してくる。

流石に獣でも学習するよね。

「惜しい!次はいけるよ!もう一度だ!」

ぬいぐるみの方は学習していないようだ。

落ち着こう…このまま同じ戦法をすればこちらが先にやられる。

なら、ここは防御優先の戦い方より一撃で仕留める方がいい。

暗殺系の技だと仕留めきれないことはわかるならば暗殺者らしからぬ技になるが試してみる価値はある。

魔獣もここで決めるの気なのかさっきまで感じることがなかった嫌な魔力を感じる。

魔法がイメージにより変幻自在なら杖に魔力を纏わせ巨大な野太刀を形成し雄叫びをあげながら魔獣は突撃して来るが紙一重で避ける。

魔法使いとしての力が身体能力の底上げにより相手の強襲を避けるのも容易い。

魔獣の攻撃を避けたことで校舎に穴が空いたが魔獣を怒らせるのには充分だ。

殺意マシマシの突撃に合わせて身体を捻り魔獣を野太刀によって真っ二つにする。

正直、グロテスクな結末になってしまった。

「やっぱりこの子に頼むんじゃなかった…魔法少女は魔導士にとってアイドルみたいなものなのに…こんな野蛮人採用するんじゃなかった。」

あのぬいぐるみは後でどんな目に遭うか分かって好き放題言っているのだろうか?

とにかく化け物退治も終わったことだしこの服も元に戻って校舎の穴も塞がるは…ず?

服は元に戻ったが校舎の穴も破壊された所も全てそのままの状態だった。

「ねぇ、ぬいぐるみ?なんで壊れたとこそのままなの?普通化け物との戦いて終わった後には全て元通りになるはずじゃないの?」

「なに言ってるの?壊れたものがなにもせずに元通りなるわけないじゃない。君は魔力がもう残り少ない以上直せないから…今すぐここから逃げるべき!」

警察のサイレンが聞こえてきている。

このままでは、犯罪者として捕まってしまうここはぬいぐるみの言う通りに逃げるべきそう考えてアイは逃げるのだった。



家に帰ると夜中に家を抜け出していたことがバレ説教をされ休みの日だったから良かったが部屋に戻れたのは昼過ぎだった。

「大変だったねぇ~。」

ニヤニヤと笑い掛けてくるぬいぐるみを見てイラつきがましたけど今は大人しくしておかないとまた怒られる。

「いやぁ~愉快な見せ物だったよ。母親に怒られる姿は格別に面白かったよ?そうそう、僕の名前は白い熊本略して白熊です!」

何故に熊本なのか分からないけど…というより熊本てどっかで聞いたけど…まだ習ってないところに気づくのはテレビを見てからだった。


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