風見鶏

‥‥




‥‥‥‥




‥‥? ‥‥死んで‥‥ない?




小鳥を捕まえるのに夢中なって崖から足を踏み外した私。

けれどどこも痛くない‥‥



「‥‥おやぁ」


妙に間延びした声がすぐ近くから聞こえた。

恐る恐る顔を上げるとそこには‥‥


「前々から不思議なことが起こる街だったけど」


くるくる回るハネ。


「女の子まで降ってくるようになったのかぁ」


鳥をかたどった金属板。


「まだまだ驚く事がいっぱいあるなぁ」



どっからどう見ても正真正銘間違いなく、風見鶏。

‥‥の、頭をした男性に抱えられていた。


「風見鶏!」


ガスランプさんが上から叫ぶ。


えっ この人がさっき話してた‥‥?


「ああ、ガスランプ?どうした?」


まるで何事もなかったかのように風見鶏さんが返事を返す。


「アズサさん!無事ですか?」


あっ、完全無欠に平気です!

あの、助けてくださってありがとうございます。


「いやぁ、咄嗟にキャッチしただけだからお礼なんていいよ」


イヤにのんびりした口調で話す風見鶏さん。

風変わりってこういう‥‥?


その時。


──ピピピピピ‥‥


あっ、小鳥が‥‥


あんなに追いかけていた鳥が、風見鶏さんの肩にとまった。


「風見鶏!」


別の場所からガスランプさんが降りてきた。


「帰ってきてたのか」

「あーうん、いつもよりちょっと回り道してたもんで、遅くなった」

「連絡をくれればいいものを」

「いつも行き違いになるからさぁ」


‥‥あのー‥‥


「うん?」


そろそろ下ろしてもらえませんか‥‥


「あ、ゴメン」


風見鶏さんはゆっくりと下ろしてくれた。


「アズサさん、お怪我はありませんか」


大丈夫みたいです。ご心配おかけしてすみません。それより‥‥


「ああ、鳥が‥‥」

「ん?鳥?」


風見鶏さんはようやく肩に乗った鳥に気づいたようだ。

‥‥もしかしてこの人スペシャルウルトラ鈍い‥‥?


「この子、白籠の鳥だよねぇ。どうしてここに?」

「逃げてしまったのですよ。私達はその鳥を追いかけてここまで来たのです」

「ふーん‥‥逃げたって、外に出たかったのかなぁ」

「あなたと一緒にしてはいけませんよ」


風見鶏さんが小鳥を撫でる。すると小鳥はあの歌を歌い出した。


ピピピピピ。ちちちちち。ピーピピピ‥‥


‥‥!


思い、出した‥‥!



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