第十回『ゲーム』感想文

要約/かつての戦争が残した巨大な爪痕は、今なお暗闘の形で傷を深めている。狂気の「ゲーム」を通じ人々を侵食する財団とその手先、爪痕が残した子孫たちの必死の攻防。ゲームの標的となった女性が闇に翻弄されるなか、脱出は果たせるか。かなり荒削りだが、作者の書きたいという情がこもった熱ある作品。


◆タイトル

ゲーム

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889499060


◆作者様

七沢ゆきの@miha-konoe 様


◆文字数

98,039文字


【フルスロットルでネタバレしています。ご注意ください。】


【前置き】


 まずは制作、完結お疲れ様でした。

 中長編に入る小説を制作するのはプロの方でも大変だと思います。私もちょっと小説を書いているくらいの趣味の者ですが、長編を考えるノウハウもアイデアもないので、まとまりよく完結しているというだけでも尊敬いたします。

 私もいつか、このくらいの文字数で物語を書いてみたいです。


 さて、本作を読んだ感想を語る前に、今回の作品を読むにあたって、これまでとは少々事情が異なっておりますので説明します。


 本作は私がツイッターで読み企画として募集したのではなく、たまたまタイムラインで「感想求む」と発見したため私の方からお声がけしたものです。

 そのためすでに一度、感想を七沢様にお伝えしたのですが、ふと、「最新作ではない本作の感想をお求めの理由」をお伺いしたところ「ブラッシュアップのため」というお答えをいただきました。


 そこで初読の感想だけではなく、じっくり読み返しながら「自分の思考の整理」「浮かんだ疑問」「作劇上の指摘事項」を七沢様にお伝えしました。

 そしてその途中「これは果たして意味のあるやり方なのか?」という強い疑念に駆られたため、勝手ながらこの報告はやめ、元の感想を改作してお伝えすることにしました。


 そうした経緯から書いた感想が以下の文章です。


【全体を通した感想】

●続きが気になるハードボイルド・サスペンス

 ハードボイルドなサスペンスであり、各話の続きが気になる作品でした。雰囲気が陰鬱なフィルムノワールという感じで、読む人を選ぶとは思いますが、こういう作風は個人的には好みです。


「逃亡する」という行動は、続きを読ませる牽引力がとても強い方法だと思います。

 逃げる人間、それを追う人間を双方描くことでサスペンスが高まり、読み手を引き込みます。いつ相まみえるのか、どういう決着がつくのか、そこが見たい。捕まるか、そうでないのか、ハラハラする紙一重を見たい。そういう意味では続きが何かと気になる作品で、良いと思いました。

 一番良いと思ったのは逃走経路の構築です。すごいリアリティでした。というよりほぼリアルでしょう。この空気感を作品全体に敷き詰められたらすごいことになるな、と思いました。


 そして続きが気になる、リアリティがあるのは、ひとえに文章の力だと思いました。すらすら読みやすく、意味の通らない箇所はほぼありません。段落内にある文章の順序が非常にわかりやすいので、読み進める速度に従って理解できます。


 物語にでてくる狂気の「ゲーム」。ゲームを操る組織、その実行部隊と逃亡者、組織に対抗する別の組織という、駒を巡って繰り広げられる攻防が面白かったです。


 一方で、気になったのはクライマックスや人物像です。「あれ? ノゾミこんな死に方なの? もっと暴れて欲しいのに」「キカって結局どういう人なの?」「残留孤児が関係している中国マフィアが結局正義の味方なの?」ほか、クライマックスのトーンが拍子抜けしてしまったこと、キカ一人を逃がすためにずいぶんな犠牲を払ったけど大丈夫なのか? など、わりと多かったです。


●敵設定の独創性と着想、果敢な挑戦

 真のラスボス? たる暁財団ですが、表向きは慈善団体と言いつつ狂信的な国粋(?)主義者が、なんの罪もない人間の時間を勝手に売り買いして命を自由にもてあそぶという恐ろしい「ゲーム(というより神々の遊び? 余興?)」を行っています。

 作中のリアリティはともかく、設定の独創性が面白いと感じました。いかにも陰謀論的にありそうな感じですし、一部実際に活動している団体すらあります(過去の戦争を賞賛するような)。

 この物語は過去の戦争とその傷跡――国粋主義、クーデター、残留孤児、ナチズムなど歴史的な事実――を根幹に織り込んだ意欲作といえると思います。着想がとても良く、よく思いついたなぁと感心しましたし、このような題材を物語にする果敢な意気込みは大きく讃えたいと思いました。


●生き生きした敵、ノゾミ

 特筆するべき登場人物は、なんといっても中垣ノゾミです。

 最も生き生きとして狂気が描かれ、口調は好みじゃないですが、好きな人物でした。

 なんのためらいもないテロ的行動や、プロらしい頭脳の働き、金井君の愛情を勝手な解釈で利用するところなど、行動原理や行動そのものが鮮明に描かれていてとても良かったです。悪役が輝く作品は最高ですよね。ただ肝心のクライマックスで最強感が薄れてトーンダウンしてしまったのは非常に残念に思いました。手がつけられないほど強そうに思っていましたが……。

 ダミアヌスとの心理戦での台詞の掛け合いは上手だな、と思いました。上手くやり込め、ショックを与え……口が達者なのは精神的なダメージが大きいので、ノゾミはそういう交渉方面も長けていて全方位完璧だな、と感心しました。


 ただ心理戦に持ち込む意外性はすごくいいな、と思ったのですが、言葉の応酬はクライマックスとして弱く、また説明的なセリフで固められています。もっと派手なアクションが見たかったなぁ、と思いました。


【気になること】

●序盤のシーンのとってつけた感じ

 主人公がこの事件に巻き込まれ、そして脱出を準備する序盤のあたりのシーンが、少々「とってつけたような感じ」がしました。


 カオリのシーンは第1話「高二の時」「キカが26歳の秋」で、この間十年。よっぽど印象が強く、毎日のように思い起こして悩んでいたのかな、これはキカにとってどういう意味があるんだろう? と頭に置きながら読み始めました。


 このシーンのあとフォンファと逃げるシーン、その次にマンションに現れるカオリのシーンと続きますが、カオリはこのあと全く出てきません。「鬼ごっこ」の存在を引き出すためとはいえ、本当にその役割しかないシーンになってしまっていました。

 キカがカオリと突然再会したにもかかわらず、かなり感慨が薄いのも気になりました。二人の間にある歳月が感じられず、つかず離れずずっと付き合いがあったような感じがするんですね。


 この後母親に電話をかけるシーンでは、何度も家に遊びに行っていたとあるので実際は仲が良かったのでしょうが、高校卒業後は全く交流がないような感じですし、カオリの悲惨な境遇にもかかわらず、何度も遊びに、の下りと整合がとれてないような感じがして、ちょっとちぐはぐに思いました。

 冒頭でシーンを細かく切り替えて「逃亡」と「突如現れた精神異常のカオリ」とを見せるインパクトは相当なものでした。が、ちょっと扱いが荒すぎるようにも感じました。


◆キカについて

●キカの人物像

 全体を通して主人公の人物像がいまいちよくわからないんですね。


 本作は基本的に主人公の一人称視点です。なので彼女の心情が地の文になって表れているのですが、好人物とはとても思えない、とがった性格です。

 要約すると「実力が認められず、計算高く人を利用して自分の地位を築き、一方で普通に交際する男性がおり、幸せな生活を送っている二十六歳の女性」です。

 今回のゲームから逃げるためにかなりの犠牲者が出ていますが、通り一遍の良心の痛みくらいしか感じていない様子。

 あるいは戦う人々との交流の中で人間的に成長していく物語と読めなくもないですが、あんまりそういう風には感じられません。

 序盤で地の文に使われている言葉や、逃亡シーン、戦闘シーンでの場当たり的な反応や感情の表れ方などをみていると、「主人公はかなり情緒不安定なのでは……?」とも思えてきます。

 支援してくれる人物を「手持ち」と表現する図太さの割に、結構すぐ泣いたりします。

 リアルな人間はずるいところやもろいところなどたくさんの面があって、そんなにきっちり自分を貫けませんから、そういう意味ではリアルな人間に描かれているのかも知れません。

 が、共感できず、感情移入するにはつらい感じでした。


●キカの選択

 キカの「逃げる」選択が、次第にその意識を変化させて「逃げずに立ち向かう」選択となって物語のエンドを迎える、という変化。私は彼女の性格だと、逃亡計画の第一段階、旅行先の偽のキカや「李マユミ」の手配のとき、良心が目覚めて逃げないで戦う決意をするか、あるいは完全にくじけるか、または良心を呼び起こすことなくずっと逃げる選択肢だけを貫くのじゃないか……と思いました。

 どうしたら「逃げたい」から「逃げない」になるかな、と考えたところ、良心をどう刺激するかが答えなのかな……と思いました。

 例えば……

・旅行先に派遣する偽のキカや李マユミはきちんとした工作員で、処刑部隊の連中と渡り合える戦闘力があり、犠牲者は出ない。

・本物の李マユミも実は死なず、戸籍について細工が施される。

・上記の工作員がもし殺された場合、アジトにやっかいになっているときダミアヌスのもとに連絡がはいり、知ることになるか、またはノゾミがしゃべる。工作員たちはうまく部隊を始末するか、部隊もろとも全滅して本当に差し違え、キカの良心を刺激する。

・ヘイ、イェンの二人は一度瀕死に陥ることで死んだとキカに思わせ、キカがブチ切れる(その後なんとか一命をとりとめ、二人は死なない)。

・ダミアヌスもかなりの重傷を負ってキカが車を運転する。

 などなど、キカの良心を刺激するシーンの場所を変えたり増やしたりすることで、逃げずに戦いたいとする決意への道筋がより鮮明になるのかな、と愚考しました。


 いかにずぶとい性格でも、人が死んで平気でいられる人はいないとおもうんですね。屈強な兵士が、戦闘によってPTSDを発症する事例は現実に問題となっているように。しかし犠牲者がでてもなお自分の計画を遂行する、という物語はいくらでもあると思います。そしてそこには読者に明確に伝わる「かなり強い動機」があるのではないか……と思います。

 私の感じ方は「良心」を軸としましたが、ほかにもあるかも知れません。


◆暁財団について

●暁財団の「ひょっとしたらあるんじゃないか……感」

 暁財団やその他巣くっているとみられる団体に関する全体像が非常に見えにくいな、と思いました。

 また、財団の存在はわかりましたが、少し踏み込んで語るなら「もしかしたらあるかもしれない」と思わず背後を振り返ってしまうような「万が一感、ひょっとしたら感」がもうすこし出ていたらなぁ、とも感じました。


●暁財団と金井君の一人称、もしくは慈善団体としての活動

 作中での財団の「仕事」は、「ゲーム」の関連部門、特に処刑部の描写しかないので、バックにある財団の巨大組織感がいまいち見えないんですね。

 処刑部門などという犯罪集団が存在できる時点で後ろ盾=財団の影響力はとてつもなく大きいとわかります。ですが、「黒幕感」がいまいち匂ってこないのです。

 もちろん途中で説明があり、政治権力や警察権力にも相当の協力者がいるのは読者に知らされます。

 が、フォンファの言う「化物」じみている様子が今ひとつ伝わって来ませんでした。


 その大きな理由の一つに「金井君の一人称視点」がある、と私は考えました。


 組織側の物語は金井君の視点で語られますが、彼は裏の世界全体をよくわからないままノゾミに従うだけで、組織や体制にほとんど興味がないんですね。

 彼にとっての世界とは「仕事とノゾミ」しかなく、ほかに趣味もないので、組織や財団に対する「自分ごと感」は当然薄くなります。

 そもそも一人称で見える世界はとても狭く、見通しも悪いですよね。本人の好奇心も薄いとなれば、行動も知識も地の文でなかなか語れません。よって、それに詳しい人の一人語りに頼ることとなり、説明感が増しすぎて「説明台詞だな」と感じることが自然と増えてしまう。

 それと、実生活でもそうですが、「説明されて理解する」のと「身をもって体験する」のとでどちらがより自分ごとに思えるかと言えば、実体験です。

 金井君視点による実体験のシーンは殺害シーンふたつがありますが、「処刑部の仕事を見せること」、「なぜこんな仕事が存在するか説明すること」は一つ目のシーンだけで足りていました。二度目のシーンの効果や意味をもう少し財団側にフォーカスすることで補えるような気がしました。


 あるいは、表向きの組織の顔「国で一番大きい慈善団体」という側面を強調し、街のあちこちにいて献身的な奉仕活動をしている、みたいな描写があったなら。

 キカのような一般人が、「常に献身的ですごいなあ」と今まで感心してみていたものが、真実を知ることで「あっちにもこっちにもいるとにかく不気味で危険な存在」に変貌する。

 こうしたシーン描写により、作中での肌触りみたいなものをもっと感じとれたかも、と読みました。


●暁財団ほか、複雑な設定とわかりにくさ

 今回の「ゲーム」に関わりそうな団体が複数ある説明がノゾミによってなされます。


・「太陽」とその一族。

・命令系統により禁止された人々

・なんでも屋

・命令系統そのもの=財団

・その他色々?


 が、ちょっと見えにくいところが多かったです。


・命令系統=財団自体がよく見えない。

・ゲームを仕掛けられる団体がいくつかあるのか、よくわからない。

・命令系統がどう展開しているのか、よくわからない。

・それぞれの団体の関係性が、よくわからない。


 もちろん全部の説明は必要ないのですが、少なくとも財団となんでも屋については多少なりとも把握したかったな、というのはあります。

 とくに「なんでも屋」とノゾミたちの組織は不可侵という部分は、どちらかの組織と接触したらその獲物には手を出せない、かなり強固なテリトリー分けがされているという説明がありながら、「命令系統に話をつけた」だけであっさり侵犯がオーケーになっています。

 また後のシーンでは「不可侵はなんでも屋だけの権利だ」という下りがあり、全部読み返してみるとこのふたつの組織の関係はとても矛盾した設定になって混乱しました。

 なので、例えばノゾミの独断で突っ走ったとか、組織間の設定自体を変更するなど混乱しない理由付けが何か必要なのでは? と思いました。


 おそらくこれは「金井君の一人称」の影響もあるのだと思います。

 もしノゾミの一人称であれば、地の文で色々とわかっていることを解説でき、かなりクリアになると思いました。


◆一人称のこと

●二人の一人称、情報量の台詞回しへの偏り

 本作には一人称の語り手が二人いて、一人が主人公キカ、もう一人が金井君です。

 二人ともほぼ事情をわかっていない語り手です。


 主人公キカは何も知らないまま、カン働きと周囲の助力によって事件の渦中をもがいています。

 金井君は自分に与えられた仕事とノゾミの存在以外に関心がなく、真面目に(?)働いています。


 物語の中で事情を知らない人間の一人称がふたつ展開するのはかなり情報が制限されてしまいます。

 情報を見せないのはサスペンスを高めるのに効果的ですが、どの情報を見せ、どの情報を見せないのかはかなり綿密に設定する必要があるように思いました。

 特に本作は説明がほぼすべて他人の台詞になっているので、説明臭さが拭えません。

 一人称が生み出せる情報量を振り返ったり、説明台詞を見直すなど、作品世界を味わうのに必要な説明をもう少し絞るか、もしくは説明の仕方を変える必要があるのかな、と思いました。

 割と唐突に主人公が銃や無線機に関心を持ったりして、関心の向きどころがよくわかりませんでしたから、性格設定の面や、情報を出さざるを得ないシーンにするといった工夫で、説明臭さを回避できるのかな、と考えました。

 私は本作を読みながら、「二人とも事情に明るくないのにそれぞれ一人称視点を担当するのは少々処理が難しいのでは?」と感じました。敵方の語り手をノゾミにしたほうがよりクリアになるとも思いました。


【終わりに】

 本作は過去の暗い時代を背景に、その暗黒の時代を復活しようと画策する人々と、その彼らの狂気に晒された人々、暗い時代に虐げられた人々の子孫たちが、己の信念をかけて戦う物語です。

 作者様のノワールな感性は読む人を選ぶと思いますが、豊富な知識や構築された細かな設定、リアリティの感じられるガジェットなど、「書きたいことを全部詰め込んだ」という情熱を何よりも感じる物語だと思いました。

 一方、かなり荒削りな印象もあり、主人公の人物造形や作者様の持つ知識の文章への出し方、また描きたいシーンの意味合いなどが少し乱暴にも思えました。


 作者様の「本作をよくするには?」の答えに少しでも近づけたのかはわかりませんが、何らかの示唆がこもっていたら幸いに思います。

 かなり時間がかかってしまいましたが、私も非常に貴重な体験が出来ました。ありがとうございます。


【おまけ】

 おまけとして、本作のなかでも緊迫感とリアリティがとても高い、水郡線を用いたキカの逃走経路について、時刻表を使って調べたことを掲載します。


 逃走計画のメモは常磐線から始まっています。しかしこのときの現在地は新宿のはずなので、まず東側に出ることから始まります。


 メモによると「水戸駅終点の常磐線普通列車」とありますが、これは本数自体が少なく、早朝もしくは午後しかありません。

 仮に早朝だと、上菅谷で最終電車を迎えるには待ち時間が余りに長すぎますから、午後と考えます。


 上菅谷駅から水戸行きの最終列車は21:26です。

 この列車に乗るために逆算すると、午後の水戸駅終点は下記の3本。あまり描写に現れていませんので時間帯は不明です。

 チカとして客引きと一緒にホテルに入り、逃げていますから、真っ昼間よりは夕方から夜なのではとおもいますが、真っ昼間から客引きはいるようにも思うので、やっぱり不明です。

 下記の三本の電車に乗れる東側の駅は品川、新橋、東京、上野、日暮里です。新宿から東京にでるルート、上野始発のルートで考えます。

『常磐線』

 14:05、東京発(品川、新橋、上野、日暮里もある)

 16:20、水戸着


 14:45、東京発(品川、新橋、上野、日暮里もある)

 17:00、水戸着


 16:13、上野発

 18:21、水戸着、リミット。これ以降の電車では計画に間に合わない。


『水郡線下り、上菅谷まで』

 仮に16:20着として水戸発上菅谷行の水郡線下りを見てみると、上菅谷発水戸着の最終電車に間に合う電車は8本あります。

 16:49発

 17:24発

 17:37発

 18:24発

 18:41発

 19:11発

 19:22発

 20:18発


『着替え』

 着替えで清掃中の札が有効なのはせいぜい30分程度と思われます。水戸駅到着から着替えるまで→着替えてから水戸発の電車に乗るまでの時間をタイトにしないと非常に怪しまれそう。

 また水戸駅でうろうろしたり、長時間個室を占領するわけにも行きません。


 例えば18:21水戸着で考えます。

 18:15、「清掃中」開始

 18:21、水戸着、着替えに行く

 18:41、水戸発乗車

 18:45、「清掃中」終わり

 18:57、上菅谷着


『最終待ち』

 着替え後、上菅谷に到着しますが、この間に水郡線の上下線が上菅谷に到着し、乗客が乗降する本数は6本。

 最終まで2時間半程度の潜伏時間になりますが、上菅谷駅の最近の乗員数は一日6-700人らしいので、帰宅民などの状況を考えてもあまり問題なさそうに見えます。

 唯一ネックは20:39に下り列車が始発であることくらいでしょうか。乗客が「待つ」ことで手洗いが空かない不審が生じる可能性がなくはないです。


 19:27、下り発

 19:30、上り発

 19:41、下り発

 20:27、上り発

 20:36、下り発

 20:39、下り発、始発


 21:26、上菅谷発水戸行最終列車


 待ち時間のあいだ、主人公は色々と振り返る時間が出来るはずなので、ただ漫然と待ってはいられないでしょう。推理を働かせたり、すすまない時間の感覚に恐れが生まれたりと、一つのドラマが展開されていそうです。

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