第七回『ある薬屋と犬と龍と騎士の一日』感想文
物語要約/町で薬屋を営む男と、雇った獣人。彼らに目を光らせる騎士団長。薬を買いにきた転生者たち、そしてその薬の材料の秘密とは。ゆっくりとストーリーが展開し、文章も読みやすく平易だが、シーンの意味合いや設定に対する描写にやや疑問をもよおした部分があった。
◆タイトル
ある薬屋と犬と龍と騎士の一日
URL:
https://kakuyomu.jp/works/16817139555290234666
◆作者
ほひほひ人形 @syouyuwars 様
◆文字数
21,212文字
【フルスロットルでネタバレしています。ご注意ください】
◆読了後に思ったこと
久しぶりに剣と魔法のファンタジー世界を舞台にした作品を読みました。
さっと読むのにちょうど良い文章量ですし、誤字や脱字などもなく読むテンポも良かったので、すいすい読めました。
あまり文字数は気にせず、ストーリーに集中して読み進められました。
キャラクターの描き分けに関しても、台詞が誰のものか若干わかりにくいところがあったものの、きちんと読み取れました。
ただ、「事件」についてのあらましは読み返しても解らなかったのが引っかかりました。
もうちょっと街の雰囲気や人物たちの背景があったらいいなとは思いましたが、2万字ですし、またファンタジー系は皆さんおなじみなのでこのぐらいの描写量で充分でしょうか?
そして、登場人物の中でアイリさんとドラゴンが個性豊かによく動くキャラクターとして描かれていて、とても良いなと思いました。
◆解らなかったところ…何が起こり、どう感じればいいのか
「事件」に関する調査の中で
「薬が盗まれた」
「夕食会で使われた」
「アイリさんが関与していそう」
までは解ったのですが…。
アイリさんは関与の疑いなのでしょうが、偶然かわざとか判然としなく、果ては薬の威力を聞いてただ驚いていただけとも感じ取れるな…と思いました。
意図的だと目的が皆目解りませんので、多分何らかの理由でアイリさんがうっかり何かしたのかも知れないですね。
しかし一方で、事件内容や騎士団長が出張ってくるところからみると、重大事件のようにみえ、うっかりでは済まされないように思います。
これをどう考えたらいいのか、どう感じたらいいのか戸惑いました。
騎士団長が調査をする重大事件とみるのか。
重大事件ではないのか。
アイリさんがうっかりしていたのか。
アイリさんが意図的だったのか。
薬の威力に驚いただけなのか。
しかし騎士団の面々は全滅し、騎士団長は瀕死の重傷を負った。
この辺はアイリさんの態度に笑うところなのか、シリアスに受け止めるところなのか。
笑いどころなら、薬の効果の重大性、部隊の全滅、騎士団長の瀕死の重傷という出来事は重すぎますし。
笑いどころでないなら、アイリさんのうっかり(?)な態度はどういうこと? となりますし。
このあたり、私はどう感じていいのか解りませんでした。
◆薬の重要性について感じたこと
この薬、主人公にとってどのくらいの重要度か、いまいち見えませんでした。
人気商品、とはいえそんなに重要視しているように見えません。
材料に関してはかなり厳重そうな秘密なのに、商品としてはあんまり大事じゃないのかな…? と思いました。
というのも、アイリさんにあっさり明かしたり、また尾行に気をつけながら慎重にもらいに行くなどの様子が見られなかったからです。
◆なぜ四人別々に薬を買いにきたのか?
ここまで書いてきて、転生者という四人組によって薬が盛られたと解釈するのがやはり最も妥当だな、と思いました。
薬の持ち主はどう見ても転生者だからですね。
夕食会で四人は薬を盛っているのを知っていたから食べなかったのでしょう。
ではなぜそうする理由があるのか? は解りません。
これが正しいならアイリさんの反応が謎です。
アイリさんの反応は妙に目立って書かれています。ミスリードのための描写なんでしょうか? だとすると今度はラストでとぼける意味がよく分かりません…。
また別々に買いにきたのは、足が付かないようにするためでしょうか?
同じ店に立ち寄っているのですからそれはないですよね。
四人別々に買いにきた理由や、どうして薬がそこで使われたのかがちょっと良くわかりませんでした。
◆最後に
文章やストーリーの流れ自体がスムーズでわかりやすい代わりに、読者としてどういう感情を持てば良いかわからなかったり、ストーリーに流れている個々のシーンの意味が解るようで解らなかったりと、色々ともったいないお作なのかな、と思いました。
初読で色々書こうと思いましたが、解らないところを読み解きたかったため、数回読み直しました。
が、やはり個々のエピソードが関連させづらく、もともと別個に作られたアイデアを合わせたのかな? とも思いました。
この町のお話は、瀕死の重傷を負ってしまった騎士団長なども見てみたいな、と思いました。
最後に、作品のご紹介ありがとうございました。
作者様のますますのご活躍をお祈りいたします。
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