第56話 ピンクのスイートピーを

 我が社は、女性能力者の意見ならば、申請すると、大抵すぐにでも許可が下りる。

 仕事の時だけとはいえ、フォミィと一緒に行動出来るようになるのは、僕にとっても好都合だ!例え、結婚相手の候補からは外されたとしても、一緒に同じ能力を使用して仕事して行けるというなら、僕にとっても万々歳だ!


「引き受けて下さって、良かったです!」


「それくらいは、お安い御用です! 元はと言えば、僕が、フォミィさんを能力者の世界に、踏み入れさせてしまったようなものですから! フォミィさんが、この会社で落ち着くまでのフォローくらいはさせて下さい」


 彼女の申し出を受けた事で、顔色が明るくなったフォミィ。


「それでしたら……もう一つ、お言葉に甘えさせて頂いても良いでしょうか?」


 少しはにかむような表情で、フォミィは加えようとした。


「はい、僕に出来る範囲内で、お手伝いしますよ!」


「もしよろしかったら……私にラーニさんの能力が複製出来るまでの間、お仕事以外でも、是非ご一緒させて下さい」


 仕事以外でも……?


 そうか、相手と一緒にいる時間が有る程度長くならないと、テレパシー能力から528hz音声に上書きが出来ないのだな……


「確かに、その方が迅速に、この能力が身につきますね。能力の複製が出来るまで、ご一緒に行動する時間を作りましょう」


 仕事以外も、フォミィと一緒に過ごす事になる……

 僕にとっても願ったり叶ったりだ!


 そうなると、ほら、何だった?

 そうだ、デートだ!

 フォミィと二人でデートするという状態になるんだ!


 ワーサルやイーマンからは、かなり羨ましがられそうだ!


「図々しい事は承知ですが、ラーニさんに、その時お願いが有るんです……」


 まだ、何か有るのか……?


「お願いと申されますと……?」


「あの……その時に、もしも良かったら、一本だけでいいので、ピンクのスイートピーを持参して頂けませんか?」


 ピンクのスイートピー?

 どうして、またそんないわく付きの花を指定してくるのか……

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