第52話 気にしていた花言葉
「話とは……?」
僕は、悪いが対等にテレパシーは使えないから、発声で会話して欲しい。
「あっ、はい……私は、ずっと、ラーニさんがくれたスイートピーの花言葉が気になっていました」
いきなり、帰るのを引き留めてきたから、何の話かと思ったら、まさか、あの時のスイートピーについてだったとは……!
「えっ、スイートピーの花言葉ですか……?」
何だったっけ……?
なんか、持参するにあたって、臨時の店主と無難そうなのを選んだんだ……
「スイートピーの花言葉は、ピンクの場合、『繊細』、『優美』、『恋の愉しみ』です。そして、スイートピー全体の花言葉には、『門出』、『さようなら』、『永遠の別れ』、『私を忘れないで』が有ります……」
……そんなに、スイートピーには花言葉が有ったのか?
僕は、『繊細』、『優美』、『恋の愉しみ』しか、店主から聞いてなかった!
『繊細』、『優美』はともかく、『恋の愉しみ』という意味で、フォミィに贈るのは微妙かと思っていたくらいだ。
『門出』、『さようなら』、『永遠の別れ』、『私を忘れないで』なんて花言葉は、もろ、ハムスターを亡くしたばかりのフォミィに対する嫌がらせのようではないか!
それについての文句をこれから、延々と言われる事になるのか……?
ああ、呼び止められても、振り切って帰っていたら良かった。 なんか、かなり疲れた……
こんな気持ちをもフォミィに読まれないように、思考の流出をガード出来る能力が欲しかったが、もう、どうだって構わない……
今は、テレパシー能力を持つフォミィに対し、僕が圧倒的不利な状態で、一対一で対峙させられている。
しかも、先日、社交辞令的にプレゼントしたスイートピーの花言葉の件で、これから、文句を浴びせられようとしているんだ……
さっき、フォミィの言葉で僕だけが引き留められて、ワーサルやイーマンら他の同行者を退散させた時、つい淡い期待を抱きそうになっていた自分は、非常に浅はかだった……
第一、フォミィが、僕を残して、そんな色恋めいた話を振って来るわけなんかないじゃないか!
大体、花言葉なんて、どうして存在しているんだ!
花は、あの美しい外観だけで、十分じゃないか!
どうして、その上、言葉で意味付けまで必要としているんだ?
そのせいで、僕は今、有らぬ誤解をかけられる事態になってしまったんだ!
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