第50話 フォミィの本当の能力
僕だけの幻聴でも、聞き間違えでも無さそうだ。
ワーサルとイーマンの突飛そうな顔を見れば、それは分かる。
けど、どうして、フォミィは、同じ能力の持ち主である僕まで、候補者に含もうとしている……?
「あっ、さっきの発言を、もしかして、フォミィさんは聞き漏らしていたのですか?」
「ラーニとフォミィさんの能力は被っているんですが……」
慌てて、フォミィが勘違いしている事を伝えようとしたワーサル達。
「それは、知っています。あの……誤解が有るようなので、そこを正して良いですか? ここへ来た時に能力鑑定の結果、私は、ラーニさんと同じ528hz音声でしたが、それは違うんです!」
違う……って?
フォミィは、実は、528hz音声の能力では無かったという事か……?
一体、どういう事なんだ?
そこは、何が何でもハッキリさせねばならないところだ!
「それでは、なぜ、フォミィさんに528hz音声という能力で検定結果が出たのですか?」
今まで無言だった僕が、ここで初めて発言したせいか、驚いたように顔を見つめて来たフォミィ。
そんな、フォミィに驚かれても……
こっちが、フォミィの発言に驚きまくっているというのに……
「それは……私の能力は、複製だからです」
「複製?」「複製だって?」「複製……?」
僕ら三人の声がほぼ同時に発した状態になり、フォミィは聴き取れていたか疑問だった。
「ええ、複製です。一緒にいた人の能力を複製する事になるので、最初にここを訪れた時には、ラーニさんと同様の528hz音声でした」
なるほど、そういう事だったのか!
フォミィは、僕と同じ528hzという能力では無かったんだ!
だから、僕にも候補者となる可能性が有るって事か!
「それじゃあ、今のフォミィさんは、どんな能力なんですか?」
「トレーナーのヨマエさんの能力を複製出来る状態です」
すんなりと答えたフォミィだったが、僕らは目が点になった。
「ヨマエさんといえば……」
「テレパシーの第一人者……」
ヨマエには、全く心に隠し事が出来ない状態だから、極力関わり合いたくないのだが……
フォミィは、今、それを受け継いでしまっている!
……という事は、彼女は、ここに来てから、僕の心の内を全てお見通しだったという事か!!
勘弁してくれよ!
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