第48話 フォミィの結婚観

「あなた達、適齢期の女性能力者さん達は、普段から婚活中なんですか?」


 ずっとイーマンばかりが話していたが、少し間が開いた隙に、タイミングを待っていた、ワーサルが口を開いた。


 やっと、会話に参加出来たものの、その無神経な発言のせいで、場が固まった雰囲気になった。

 

 ワーサルの奴、第一声で、唐突に女性人相手に、そんな事を訊くとは!

 それは、あまりにもデリカシーに欠けるだろ?


「ええ、そうですね、私は、もう既に夫が四人おりますが、まだ募集中です!」


 ワコネが、すぐに愛想良く返答した。


「ミンノさんは……?」


 ワコネが答えた事で安心しきったワーサルは、今度は、口の重いミンノに話を振った。


 返答がなかなか戻らなかったから、スルーされたと思ったが……


「……只今、検討中です」


 蚊の鳴くような声で、答えが戻って来た。


「では、フォミィさんは……?」


 最も知りたい相手であるフォミィに、最後に尋ねた。


「私は、まだ、ここに来たばかりで、よく分からないので……」


「でも、結婚する意志は有るのですよね?」


 困っている様子のフォミィに対し、尚も追及するワーサル。


「ええ……でも、私は、一婦多夫という形態を望んで無いのです」


 そりゃあ、一夫一妻制の一般人社会にずっといたんだから、その方がしっくりくるのは分かる。


「それは、もったいない話ですよ、フォミィさん! 一般人として生きていたら、このような立場は無理なんですから、せっかくなので、この機会を上手く使うべきですよ」


 突然、我慢しきれずイーマンが割り込んで来た。

 一般人を経験して来たイーマンが言うのだから、フォミィにとって、説得力が有りそうだ。


「そうですよ、フォミィさん! 郷に入れば郷に従えってやつですよ!」

 

 ワーサルも、候補から外れたくない焦りが感じられる。


「でも、私は、能力者である自分達も一夫一婦で結婚して、その二人で、一般人対象者に対して臨むのが、一番説得力が有ると思うのです」


「確かに、そうかも知れないですが……」


 多夫の一人になる予定が、たった一夫となると、自分が生き残る確率が低くなる事を心配しているワーサル。


「ここの制度は、相手を一人に決められないという女性には、持って来いの制度なんですよ。フォミィさんは、そういったタイプではなく、一途という事ですか?」


 イーマンが、じれったそうに尋ねた。


「はい、複数の結婚相手は欲しくありません」


 フォミィは、彼女を裏切った元婚約者を忘れられず、ハムスターに入れ込んいた。

 そして、元婚約者を忘れたと思ったら、ハムスターしか眼中になくなるんだから、一途なんだろうな……

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