第45話 М&Bカンパニーの新しい仲間
対象者だったはずが、女性能力者である事が判明し、僕らの会社『М&Bカンパニー』の一員となった、フォミィ。
厳正なる能力判定での結果は、やはり僕と同様の528hz音声だった。
判定時にフォミィは、僕からのアドバイスや指導を求めてきた。
そんなフォミィをあたかもライバル視しているかのように、僕は、突き放してしまっていた。
「フォミィさんは、既に、僕に対して能力を発揮していましたから、大丈夫ですよ。僕の有する能力に関しては、それ以上のノウハウも無いので、助言する事も有りません」
「でも、カップリングまでの手順とか、私は、同じ能力を持つラーニさんから教わりたいのです……」
フォミィからこれほど依頼されたところで、僕は払い除けようとしていた。
「あっ、フォミィさん、そういった事でしたら、ご心配無く! 女性能力者としての立場をよく理解している私、ヨマエが新人教育を担当しておりますので!」
フォミィと僕のやり取りを見ていた新人専用トレーナーのヨマエが、まだ何か言いたげなフォミィを無理矢理トレーニングルームへと連れて行った。
ヨマエが出て来てくれて助かった反面、僕の突き付けた言葉によって、フォミィが二度と僕に協力を仰ぐ事は無くなるかも知れない事に、虚しい気持ちが残った……
僕と同じ能力を持つフォミィは、女性能力者として伴侶を選ぶ時点で、僕は、パートナー候補の一人にも成り得ない。
それならば、極力、彼女とは関わり合わない選択をしたかった僕。
ヨマエは、テレパシーが得意分野だから、多分、そんな僕の心境を察して、フォミィを僕から遠ざける行動に出てくれたのだろう。
そんな僕とヨマエの気持ちにも気付かないようで、後日、追い打ちをかけるように、僕に仕事上のアドバイスを求めて来たフォミィ。
それすらも跳ね除けて、ことごとく彼女との断絶を選んだ僕。
気分を害したフォミィは、以後、僕以外の能力者達の意見を参考にして、僕には金輪際、近付かないだろう。
「おい、ラーニ、肩を落として、大変だったな~!」
「まさか、あのフォミィが女性能力者だったとはな! 道理で、俺の能力が効かなかったわけだ!」
ワーサルとイーマンが、僕の姿を認めるなり近寄って来た。
「僕も今までに無いくらい手こずって、時間かけて対応しようとしていたが……」
結果、自分の業績を伸ばすどころか、フォミィに費やした時間は、残念過ぎるくらいに、全て水泡に帰した。
「でも、まあ、女性能力者が一人でも増えたというなら、俺らにとっては、片寄りが少しは分散して、有り難い事じゃないか?」
俺らにとってはの、俺らには、僕は加わる事は無いのだが……
「フォミィは、ああ見えて、女性能力者の中では、可愛い部類かも知れないから、競争率が高そうだ!」
あのフォミィが、可愛い部類に入る……?
女性能力者達をまじまじと見た事が無いから分からないが、女性能力者について詳しい彼らが言うのだから、きっとそうなのだろう。
とはいえ、男性能力者達が、こぞってまとわりついたところで、選択権はフォミィにしか無いのだから無意味だ。
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