第41話 生まれて来た目的
今まで、僕の方に、ビジョンを見せられるなんて事は1度も無かった!
僕に新たなる能力が開花したのだとしたら、単純に嬉しいだけだが……
もしも、それが、僕の能力ではなく、フォミィによるものだとすると……?
フォミィが能力者だとすると、今まで通りに進まなかった事も、彼女がこれまで頑なな姿勢を見せていた事も、納得出来る!
能力者相手に、事を進めようとしても、順調に行かなくても当然……
これは、何としても、ハッキリさせねばならない!
「フォミィさん……僕にも、あなたが今、見えているビジョンと同じようなものが見えています」
「そうなんですか? ラーニさんは、そういう能力もお持ちなんですね」
それを当然の如く、僕の能力の一部として扱う姿勢のフォミィ。
「いえ、僕は、今まで、対象者の方が見ている映像が見えた事は一度もございませんでした」
「えっ……? それじゃあ、どうして、ラーニさんにも見えていたのですか?」
深呼吸を止め、閉じていた瞼を開けて尋ねたフォミィ。
「それは、つまり……フォミィさん、あなたもまた、能力者である可能性が有るからです」
僕の言葉に、フォミィの瞳は大きく見開かれた。
「私が、能力者……?」
フォミィの解せないような表情から、彼女が前もって知っていながら、今までずっと隠し続けて来たような感じはしなかった。
としたら、フォミィは、女性能力者に多いと言われる後天的な能力者なのだろう。
何かきっかけとなる事が有って、それから能力が今になって開花したパターン。
フォミィの場合、そのきっかけとなる何かは、おそらく、先日のハムスターの死だったのかも知れない……
僕と同じものが、彼女にも見えてしたとしたら……
「笑っていた人々というのは、一般人男女の恋人達だったのでは……?」
「……男女、そうですね。多分、一般人の恋人達が沢山見えていたような感じでした。あっ……」
僕が説明するまでもなく、僕の言わんとしている事が、フォミィにも伝わったらしい。
フォミィが見えていたのは、僕の仕事と同様に、能力者として、カップリングを成功させる仕事だった。
「確認ですが、フォミィさんにも、僕と同じものが見えていましたね……」
「これが……もしかして、私の生まれて来た目的という事なんですか……?」
否定されるのを乞うような眼差しを僕の方に、向けて来たフォミィ。
僕は、そんな彼女の気持ちが分かっていながら、それを否定する事は出来なかった。
「そういう事になります……」
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