第36話 知りたいのは……

 ノアシーを交えた状態ではなく、僕と二人っきりの場所で、自分に付いて知る事を望んだフォミィ。

 僕が、彼女との会話を通して知らせる能力ではなく、ダイレクトに自分の頭にイメージが届くような能力の持ち主だったら、もっと手っ取り早く事が運んだだろうに……


「もしも、教えて頂けるのが、そのどちらかだけというなら……私は、生まれて来た目的の方を優先させたいです」


 フォミィは、まだ僕の能力に不信感を抱いているようで、今すぐ、どっちとも知る事など無理難題だとでも思っているのかも知れない。


「いえ、少し時間を要しますが、両方とも知る事は可能です! ただ、フォミィさんにとって、優先順位が有るというのでしたら、それを踏また方が、早目に結果が分かると思います」


 フォミィは今までの対象者達と違う。

 この年代の男女の場合、自分が生まれて来た目的よりも、異性との事に関心が強い場合が圧倒的に多い。

 それを選ばず、生まれて来た目的を優先的に知りたいというフォミィは、元婚約者との破局から、恋愛に関してかなり逃げ腰になってしまっているのだろう。


 もしも、生まれて来た目的が、彼女にとって生き甲斐に感じられるような大きな事で有ったなら、それはそれで良いのかも知れない。


 元婚約者との失恋で傷付き、ハムスターを失って失意でいるフォミィには、過去の苦い想いを思い出させるような恋愛よりも、生まれて来た目的に沿って生き甲斐を感じながら過ごす事の方が重要なんだ。

 

 例え、今回、カップリングまでは辿り着けなくても、彼女の傷が十分に癒えた時に、僕を指名してもらい、再挑戦する事になってもいい。

 二度手間になってしまうが、彼女がこれ以上、辛い想いを味わう事だけは避けさせたい!


「生まれて来た目的を知ってから、運命の相手を知りたいという気持ちがまだ残っていた時には、お願いして良いですか?」


「モチロンです! 僕も、今のフォミィさんに対して、無理強いはしたくありませんから! 実は、僕の能力自体、拒絶している相手に対し。強硬的に施行するのは無理なんです。相手が心から同意している状態でないと発動しない事になっています」


「そうだったのですか……私が、心から望んでいないと、発動しない……」


 フォミィの顔の表情に、微妙な揺らぎが感じられるような……?

 彼女は、本当に、今、生まれて来た目的を知りたい気持ちになっているのだろうか? 

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