第34話 やっと、本題に
フォミィが、ノアシーを僕から遠ざけてくれたのは、僕へ助け船を出してくれたというよりも、やはり、ノアシーに先を越されたくなかったのだろう。
れっきとした対象者本人として、ノアシーより先に、生まれて来た目的を知りたかったに違いない。
だとしたら、話は早い!
僕は、今まで、他の対象者達にしてきたような手順で、フォミィに向けて取り掛かればよいだけだ。
「ラーニさんに、話しておきたい事が有ります……」
ほら、来た!
自分の予想通りと思ったものの、フォミィは、何だか微妙そうな感じの面持ちをしている。
まだ、迷っているのだろうか……?
だとしたら、ここで、急かしたり、天狗になってはいけない!
「何なりとおっしゃって下さい」
フォミィに対しての低姿勢を崩さないでおこう。
「さっきは、私、姉の発言に、むしゃくしゃしていたのです!」
むしゃくしゃ……?
既婚者であるノアシーが、対象者の彼女を差し置いて、自分本位な出方をしたからだろうか?
「そうですよね、今回、僕がお伺いしたのは、対象者であるあなたの為でしたが、その僕ですら、思わず、ノアシーさんの語気に負けて引っ張られてしまいそうでしたので……こうして、助け船を出して頂いて、本当に感謝しております!」
「助け船……? 違います! たまたまそういう流れになっただけで、私はラーニさんを手助けする為に、姉の元から飛び出したわけではないです」
たまたまそういう流れ……?
これは、僕を助けようとしてくれたわけではないのは、薄々感じていたけど、僕が思っていたものとも、何か違いそうだな……
てっきり、彼女が自分を優先させてもらいたくて、こういう手段を取って、姉を出し抜いたのだと思っていたが……
「と、言いますと……?」
「姉は、いつだって、勝手なんです! あの時だって……こんな事を本当は、他の人に知られたくなかったけど……姉の結婚相手は、私の元婚約者なんです」
言い難そうだったが、彼女の気持ちを晒すには、そこは避けられなかった。
「えっ、フォミィさんの元婚約者が、ノアシーさんの御主人なんですか?」
それは……まさか、フォミィに、そんなトラウマが有ったなんて思いもしなかった!
姉達の結婚自体がかなりの修羅場だったのだろうし、信じていた婚約者を自分の身内に取られたフォミィの絶望は、計り知れなかった事だろう……
だから、その反動で、浮かばれなかった気持ちをあれほど頑なに、ハムスターに入れ込むような姿勢になったんだな……
「あの時は、2人を何とか祝福しようとして、私が身を引いたのに……、今更、そんな風に、自分の本当の相手ではなかったなんて、姉が言い出すなんて……」
フォミィの気持ちは、もっともだ!
そんな辛い思いをして身を引いた結果、何年も経たないうちに、幼い可愛い娘もいるというのに、また新たな相手探しに繰り出そうとする姉を目の当たりにしたのだから。
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