第29話 ノアシーの気持ちの変化
「私は、普段はちゃんと認識しているわ! でも、あの時は、ハムハムの急逝で、頭も心も真っ白になっていて、自分じゃなかったような感じだったから……」
そう、取り乱しているフォミィは、その前までの態度も十分なくらいに味わっていた直後のせいか、その豹変ぶりも気になって、そのまま放置して戻れない気持ちにさせられた。
「そんな状態のフォミィさんを前にして、ハムスターを失った哀しみのあまりに、まさかと思いましたが、後を追うような行動に出て欲しくなかったので、気付くと、抱擁という行動に出てしまって……本当に、申し訳ありませんでした」
こうなったら、ノアシーの気が収まるまで何度でも頭を下げよう!
「そりゃあ、私だって……ハムハムの事で、大事な妹まで失うような事になったら、とても困ります! その点は、あなたに感謝してます! でも、それとひとつ屋根の下で独身男女が一夜を明かす事は、わけが違い過ぎます!」
「ノアシーさんのお言葉はごもっともです。僕も良識に欠けた行動だった事は、後になってから、何度も反省しております」
「ラーニさんもこう言ってますし、私もその件は気にしないようにするので、お姉さんもそういう事でいいでしょう?」
フォミィが、ここまで庇ってくれているのは、もしかしたら、やっと僕の528hzの声音の効果が現れているせいかも知れない。
良い兆しとは思いつつ、なぜか、それはそれで嬉しく感じられずにいる今の自分……
自分の能力を発揮してではなく、そんなものを抜きにフォミィから認められたいような気持ちでいる。
この能力をずっと便利に感じながら、仕事で使用して来たが、それが足手まといに感じられる時が来るとは、思ってもいなかった……
「妹は、こう言ってますが、私はまだ納得出来ません! 私のような夫や子供のいる所帯持ちならともかく、妹はまだ嫁入り前なんですから!」
ノアシーが自身ならともかくと言っていたのが、その時は、自然な気持ちとして、気に留めなかったが……
「第一、生まれる前に決めた目的なんて……! そんな事が分かるんだったら、私の方がよっぽど知りたいくらいよ!」
「えっ……?」
「それは……?」
ノアシーの発言を聞き流せず、戸惑いの色を隠せなくなったファミィと僕。
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