第25話 ノアシーから説得するつもりが……

「はい、フォミィさんのお姉様であるノアシーさんにも、是非ご理解頂けると助かりますので、何なりとどうぞ」


 ここは、姉にまず説明して承諾してもらい、姉からもフォミィを説得してもらう方が好都合化も知れない。

 ノアシーは姉なんだから、フォミィもノアシーの言う事なら従順に受け入れてくれるかもしれない。


「先日は、妹が飼っていたハムスターが急に亡くなってしまい、居合わせたあなたに、大変お世話になったそうで、ありがとうございます」


「いえいえ、とんでもありません。困った時は、お互い様ですから」


 なんだ、あの時のお礼についてだけだったのか……。

 という事は、ノアシーは僕に好印象を抱いているという事だ!

 2人で、フォミィを説得すると、カップリングは楽勝に違いない!


「そういった事に不慣れな妹ですから、かなり取り乱していたので、その時は、実感が無かったようですが、よくよく話を伺ってみると、驚きました! あなたは、その時に、大胆にも妹を抱擁したそうですね!」


 いきなり、ノアシーの口調が変わり、お礼を言っていた立場から手の平を返したかのように、僕の行動を咎める側に回っていた!


「それは……」


 まさか、その件をフォミィ本人からではなく、フォミィから聞かされていた姉から指摘されるとは……!


「お姉さん、待って!」


 3人分のお茶を運んで来たフォミィが、ノアシーの言動を遮った。


「いいえ、フォミィ! これは、とても大事な事なの!」


 止めようとするフォミィには従わないノアシー。


 これは……かなりヤバイ事態かも知れない!

 本人ならともかく、その姉までが、僕を待ち構えて、話にこうやって割り込んでくるとは!


 もはや、フォミィにカップリングを期待するどころの話ではなかった!

 彼女達が話したかったのは、カップリングの話でも、生まれて来た目的を知る事でもなかった!


 あの抱擁の件についてだったんだ!!


 フォミィは、あの時は、何も抵抗はしなかったし、不快さを示していなかったように感じられたが……

 それは合意というわけではなく、ただ、ハムスターの死で動揺していたから、その事を大ごとに捉えてはいなかっただけだったのか……

 

 それが、時間の経過と共に、ハムスターの死からの失意が癒えると同時に、今度は急に抱擁の件が、見過ごせない問題に思われて来たのかも知れない。


 そして、それを確認する為に、姉に連絡を入れて、判断を仰いだ。

 2人で話し合った結果、うやむやに出来ないという結論に達したんだ!

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