第22話 再訪するにあたって

 待ち望んでいた、フォミィからの電話。

 もっと後になるだろうと予想していたのに、それは、思ったより期間を開ける事無く鳴った!

 

 しかも、フォミィの方から、僕に話が有ると言う!


 きっと、カップリングを引き受けるとまでは行かなくても、かなり手応えを感じられる展開になる事だろう!


 まだ、喜ぶには早いかも知れないが……

 これは、明らかに成功へ向けて明らかに前進した状態に違いない!!


 さて、この後は……

 どうやって、カップリングまで話を進めて行こうか?

 

 やっぱり、この波に乗って、勢いでフォミィを誘導すべきか?

 

 いや、焦るな!


 この前の様子から察するに、まだフォミィはきっと、生まれて来た目的だけを知りたいに違いないのだからな……

 

 ハムスターが亡くなるまでは、僕の事など生ごみのような扱いで、さっさと片付けたかったような態度だったフォミィ……

 そのフォミィが、突如、トントン拍子に僕の話を聞き入れてくれるような状況などと期待するのは、早計に違いない!

 

 何せフォミィは、我が社の有能な能力者達の仕掛けたカップリングをことごとく失敗させてきた人物!

 ここは、かなり慎重に、かつ丁寧に進めて行かないと、せっかく、ここまで漕ぎ着けたのが水の泡だ!


 再訪か……


 今までの対象者達は、即決ばかりで、そんな長引くパターンが無かったから、よく分からないが……

 こういった場合、何か手土産を持参するべきかな?


 独身女性の好きそうなお菓子とかが良いかな?

 お菓子に合いそうな美味しいお茶とか入れてくれて、話も弾むきっかけが出来るかも知れない。


 う~ん、待てよ……

 あの頑固なフォミィの事だから、お菓子に対するこだわりも強いに違いない!

 

 せっかく足を延ばして購入したお菓子が、フォミィの好みの物じゃなかったら、僕だけがバクバク食べまくる事になって、気まずい時間が流れる事になる……


 やっぱり、花が無難かな……?


 野に咲く雑草を適当に摘んで持って行くのは、いくらフォミィとはいえ、失礼にあたりそうだから、花屋にでも寄るか……


 ちょうど、そう思った矢先、前方に花屋を見付けて、入ったのはいいが……


 今まで、女性に花なんか、プレゼントした事が無いから、何が良いのかよく分からない。

 花には、確か花言葉などというのも有るようだから、知らずに不適切な物を選んでしまって、せっかくここまで上手く行きかけた行程を台無しにしたら大変だ!


「おや、お兄さん、どういったお花をお探しです?」


 花屋の店員は、女性だと決め付けていたが、声をかけて来たのは小太りの中年男性だった。

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