第13話 予想に反して……

自分が、これだけ手の内を見せたのだから、フォミィも応じてくれるだろう。


「それで、あの……」


「その言葉では、分かってもらえませんでしたか?」


 そう言ったフォミィの視線は……

 やはり、冷たい。


「勘違いが有ってはよろしくないので、確認しますが、分かるというのは、何についてでしょうか?」


 このフォミィの様子から、答えは思わしくない方向だとは気付かされていた。

 それでも、確認を怠るわけにはいかなかった。


「つまり、名刺に書かれた会社名と、独身を貫くあなたの事情に関しては、よく分かりました。ですから、今回は、これでもう結構です!」


 結構です……


 よく、訪問販売などを門前払いする時に使う言葉だ。


 これほど今までになく必死な説明をしたというのに、この期に及んでも尚、僕は煙ったがられているようだ……


 はあっ、疲れた……!


 ここで意地になってくらいついても無駄だろう。

 今は、潔く引き下がった方が無難だ!

 例え、今後、フォミィからの連絡が来るか来ないか分からないとしても……


「承知致しました。今日は、これで失礼致しますが、もしも、お役に立てそうな事が有りましたら、いつでもご遠慮無くお声がけ下さい」


 なるべく、フォミィに対し好印象を残すように努めて、僕は、この場を後にした。


 そう、悔しいが、この場は退散するしかなかった……


 往生際の悪いところを見せると、確実に次回が無くなる!

 そして、僕に代わる次の委任者も足を運び難くなるだろう……


 失敗したのは、何が原因なのだろう?


 失敗例の無い僕が、僕なりに誠心誠意で、フォミィを説得しようとしていたつもりだった。

 

 説得力が無いというクレームに関しても、冷静になって、大多数の独身能力者男性の事情を上手く代弁出来ていたつもりだった。

 フォミィも、その件に関して理解を示してくれたと思っていたのに……

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