第12話 能力者の結婚事情

 一般人には、能力者側の理解者が少ないというのを認識していなかった……


 彼らは、僕らの事を彼らより優位に立ち、彼らを操って、自由に想いのまま過ごしているように誤解している!


 決して、そういうわけではない!

 僕ら能力者達は、一般人以上に細かい規則で拘束されている!


 その事に対し、もう慣れで窮屈に思わない自分のような能力者もいるが、我慢できず、違反行為に及び、禁固刑にされている前例が何人もいた。


 能力者の規則の一つに、婚姻に対する決まり事がいくつか有る。

 

 能力者が結婚できるのは、能力者同士に限定されていた。

 しかも、自分の能力と被っている相手とは、結婚が許されていない。

 

 それだけなら、そこまでハードルが低く感じられないかも知れないが、能力者同士の結婚を難しくしているのは、女性能力者が圧倒的少数という事だった。


 男性は、ほぼ先天的に能力を持って生まれて来る事に対し、女性は必ず後天的に能力を得ていた。

 その気付けるようなきっかけが無い限り、下手すると、一生、自分の能力に気付けないまま生涯を終える潜在的な女性能力者達も多かった。


 女性の能力が開花した場合、その女性が閉経前であれば、女性能力者にとっては逆ハーレムのような立場に置かれる。

 が、それと同時に、必ず、該当する男性能力者の中から伴侶を選び、出産可能年齢の限り、多産に協力しなくてはならなかった。

 もちろん、この場合に限っては、特別に一婦多夫が認められている。


 その件を予め知っていた女性能力者は、開花後も能力者である事を隠し、一般人として生活してゆく事を選ぶ者も、少なからずいるらしい。

 自分も、逆の立場だったら、そのようにするかも知れない事などを分かりやすく、フォミィに伝えた。


「そうだったのですね……あなた達能力者の方々に、そんなに細かい取り決めが有るとは、全く知りませんでした。子供を設ける事が可能な男性能力者達の結婚率というのは、どれくらいですか?」


「多分、10%に満たないですね。だから、我々能力者男性が結婚していないのは、さほど珍しい事では無いのです」


 全く能力者についての情報を知らない一般人に、これだけ伝えるのは、一苦労だったが、彼女は、話に付いて来られていただろうか……?

 まあ結婚率を訊いて来たくらいだから、わりと把握してくれていそうだ。


 こちらの内情をこれほど詳しく提示してみせたのだから、いい加減、フォミィも心開いて、協力する態勢になってくれているだろうか?


「そうでしたか……分かりました」


 分かりました……とは?


 何がだろう?

 自分の今の説明内容についてだろうか?


 それとも、僕の業務について理解を示し、同意してくれたという事だろうか?

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