第11話 説得力の欠ける点とは……

 これだけ、自分も苛立ちを抑えるのに困難な状態にまでさせられているのだから、もったいぶっているようなフォミィから、何が何でも聞き出さねば!


 僕の何が、説得力を欠けさせているんだ……?


「この通り、自分はまだまだ至らない人間だと言う事をあなたは、すぐに察知出来た様子ですが、自分はまだ残念ながら、気付けておりません。今後の参考の為にも、是非、その事について詳しく教えて頂けると助かります」


 低姿勢でフォミィの助言を仰いだ。


「あなた自身が気付いていないなら、お仕事を続けるにあたって、効率を上げる為にも、伝えてあげた方が良さそうね」


 フォミィがかなり上から目線なのが癪に障ったが、聞き出す為だから、そこは我慢するより仕方があるまい。


「いたらない自分としましては、そうして頂けると、大変有り難いです!」


「確認してよろしいかしら? あなたは独身なのでしょう?」


 フォミィの視線が、僕の左手薬指で止まった。

 独身かそうでないかによって、何が違うというのだ……?


「はい、そうですが……」


「あなたは独身アピールで、対象者からモテようとしているのか分かりませんが……カップリングを生業なりわいとしているのでしたら、自身が結婚して、幸せな家庭をアピールする方が、よほど説得力が有りませんか? 能力者である自分は、独身貴族として、自由気ままに過ごしていながら、私達一般庶民には、カップリングさせて出生率を上げさせるというのが、都合良過ぎな感じがしませんか?」


 僕が会社の方針を説明するにあたって、かなり力説した事に対抗するくらいに、フォミィが僕の落ち度をあからさまに指摘して来た!

 

 僕は、この家を訪れた時から、何を言っても、フォミィには、その印象でずっと見られていたんだ……

 それは、説得したところで、聞き流されても無理は無かったな……


「あなた方の目からは、そのような印象に思われるのは、もっともですが……その前に、少しだけ、能力者側の事情の理解に努めて頂けませんか?」


「……よろしいですよ。言い分が有るのでしたら、どうぞ、おっしゃって下さい!」


 弁解出来るものなら、やってみるがいい的な物言いのフォミィ。

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