第7話 邪魔者扱い

 去るように告げられたものの、まだ何か策は無いものかと、その場にまごつきながら残っていた僕に、フォミィの視線は冷たい。


「言葉が通じてないわけでもないのに、どうして、去られないのですか? 私は、元々あなたに用事なんて無いですから、速やかにお引き取り願います!」


 フォミィが僕達の前に有るドアを閉めようとするが、僕の手が咄嗟に、それを拒む動きをしていた。


「一体、何の真似ですか?」


「僕には、まだ用事が有りますから!」


「いえ、既に終わったはずです! あまりしつこいとパトロール隊を呼びます!」


 治安の良いネミリエ王国では、パトロール隊に捕まると、即座に監獄送りとなる事も有る!

 そんな事にならないように、ここは慎重に対応しないと……


「待って下さい! あなたは、ここに生まれて来た目的とか知っていて、現在、本当に、それに向かって生きているのだと、自信を持って言えますか?」


「えっ……、生まれて来た目的って……? そんな事……私は、あなたと違って能力者ではありませんから、知っているわけがないです」


 僕の質問に、明らかに困惑している様子が伺えるフォミィの声音。


 きっと、その事に関して、無関心なわけではないはず!

 それならば、彼女には僕が必要だ!


「もしも、それを正確に知る事が出来るとしたら、もちろん、知りたいですよね?」


 今までと違い、やっと、自分が優位に立ったような気がした!


「それは……その事に対する代償が無いのだとしたら……」


「代償とは……?」


 フォミィから、金銭目的の悪徳業者のように思われていたのか、僕は……?


「例えば、それを知ってしまったせいで、私の五感の1つをあなたに差し出さなくてはならないとか、私のこれからの寿命が半減するとか……」


 はぁ~?

 どうしたら、そんな酷過ぎる代償が課せられると思い込めるんだ?


 こんな小さなハムスターを溺愛しているくらいだし……

 フォミィは、これまでずっと世間一般的な幸せとは縁遠い生き方をしてきたのだろうな……


「まさか、あなたに対し、そんな過酷な代償を求める事なんてありません! その点でしたら、ご安心を!」


 フォミィの顔には、少し安堵の色が見られた。

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