第2話 頑ななフォミィ

「何度いらしても、私は、応じるつもりはありません!」


 僕以外の能力者は、フォミィとは間接的にしか接触していないはずだった……


 にもかかわらず、彼女は僕達のような能力者が動いている事をとっくに察知していた。

 頑固な上、勘も良いとは、確かに手強そうだ!

 

 僕は正攻法がモットーで、毎回、対象者と対面で自己紹介し、自身を信頼してもらう事から取り掛かっていた。


 僕の能力は、528hzの声音。

 相手のリラックスを促し、生前に決めて来た人生のシナリオを思い出させ、それに則した人生を歩ませる事。

 決して、対象者を洗脳するわけではない。

 小惑星の激突によって、道を違えた人々を本来の軌道に戻す事が目的。

 

 今までの対象者達は、僕と話しているうちに、自然に自分の生前に描いていた生き方を思い出してくれていた。


 本来の生きるレールに戻った後の展開は、今までとは比べものにならないほど加速化する!


 すんなりと運命の相手との出逢いを果たし、晴れてゴールイン。

 運命の相手との婚姻では、不妊などという状態は無く、スムーズに受胎し出産へ。


 そんな成功事例しかなかった僕に対し、自己紹介する間も与えず、初めて敵対心を顕わにして来たのが、フォミィだった。


「何か有らぬ誤解が生じているようですので、少しお時間頂けますか? 難しい話は致しませんので、僕の話に耳を傾けて頂けますか?」


 これ以上、フォミィの反感を買わないよう、まずは下手したてに出た。


「あなた達のような能力者のやる事なんて、お見通しです! 私は、そんな卑怯な手には引っかかりませんから、お引き取りを!」


 能力者に対し、フォミィが良いイメージを抱いていない事だけは分かった。

 今までの失敗事例から、彼女は能力者への不信感をどんどん募らせていったのだろう。


「あなたに対し、僕達の仲間が行って来た数々の御無礼を大変申し訳無く感じております。ですから、その分も、僕にお返しをする機会を与えては頂けませんか?」


「お返しって? 例えば、どんな方法で……?」


 乗って来た!

 よし、これで、第一歩踏み出せた!

 これから、少しずつ、彼女の警戒心を解いてゆかねば! 

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