第21話

「よし! できた!」


僕が大金をゲットしてから、3ヶ月が経った。アオイさん達は、指名依頼が殺到していて留守がちだ。


「今の依頼を終えたら、一旦指名依頼を止めて貰うから、また商品開発しようね! マイスも稼ぎたいでしょ?」


「僕は毎月のお給料で充分ですよ」


ナビで稼いだお金も、だいぶ残ってるしね。


「そんな事言わないでよ〜! 私達もマイスと色々作るのを楽しんでるんだから、次は冷蔵庫と冷凍庫ね!」


「わかりました。僕もみなさんのアイデアを形にするのは楽しみです。今のうちに家を完成させますね」


って訳で、みなさんが居ない間に、ガラス窓を作って鏡も作ってドレッサーも作った。材料は大体あったし、足りない時はみなさんが帰宅した際にロッドさんのお店で揃えたりした。ロッドさんにもナビを渡してあるから色々お願いをしやすい。ロッドさんの店と僕らの家だけでペアにしてあるから、誰にも話を聞かれないし休日はロッドさんと素材トークで盛り上がってたりする。


家作りは楽しくて、ついつい夢中になってお昼を忘れそうになると、キュビさんが呼びに来てくれるんだ。


ロッドさんやキュビさんのおかげで、寂しい思いをする事もなく楽しく過ごす事が出来た。ああ、そんな事を考えてたらもうお昼だ。キュビさんが飛んで来た。


「マイス オヒル ヤスメ ハラガ ヘッタ」


「ああ! ごめんなさいキュビさん! 今日は何にしますか?」


「カツドン!」


カツ丼って言うのは、アオイさん達の故郷の味だそうだ。卵とお肉を使う。両方とも貴重で贅沢な一品だ。まぁ、お肉も卵も傷むから遠慮なく使うけど。キュビさんはスパルタで舌も肥えてたから最初はよく叱られた。1ヶ月くらいでなんとか合格点を貰えるようになった。キュビさんが初めて褒めてくれた時は嬉しかったなぁ。


食材は、たまにアオイさんが転移で持ってきてくれる。仕事の合間だからと渡してすぐ帰る事も多いけど、全員で完成途中の家に泊まってくれる事もある。


その度に家を褒めてくれるから、もっと良いものにしようと頑張ってしまう。休日も趣味だと言い訳して家づくりをしていたらアオイさんにバレて怒られたけど、無理をしないならと認めてくれた。ただし、その分給料を上乗せすると言われた。


それは申し訳ないから、休日は家づくりをやめる事にしたら、マイスにはこれが効くのねって笑われた。


本当にいい職場だと思う。


ますますやる気が出て、頑張って効率良く作業をする方法をたくさん研究した。おかげで、少しスキルアップできたと思う。


今日アオイさん達は全ての仕事を終えて帰って来る。料理も作ったし、家も完成した。あとは帰りを待つだけだ。


「「「ただいま!」」」


「おかえりなさい」


「オカエリ オカエリ!」


優しい上司と、住みやすい家、美味しい食事に、かわいい同僚。


ここで働けて本当に良かった。

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