第20話

僕は、出かける前の3人にベルトポーチとブレスレットを渡した。おやすみをつぎ込んで作り上げた物だ。


「ベルトポーチもブレスレットもかわいいし、動きを邪魔しないね!」


そう言って、レナさんはベルトポーチとブレスレットを付けて飛び回ってくれた。相変わらず凄い動きっていうか……ギリギリ目で追えるくらいだね。速いなぁ。


「確かに良いですね。ベルトポーチは持っていなかったので嬉しいです」


「ホントだね。あれ、このベルトポーチって……」


中に物を入れようとしてアオイさんが気が付いた。


「はい、マジックバッグです」


「「「えぇ?!」」」


「マジックバッグって材料がまだ揃わないって言ってなかった?」


「あれから何度かロッドさんに頼んだり、別の店もチェックして揃えたんです。ロッドさんのお店がいちばん良い品ですけど、他のお店のものも使えますからね」


「え……? そんなヒマどこにあったっけ?」


「この間、お金が入って街を回ってた時ですよ」


「材料集めて作ってくれたって事?」


「はい。ブレスレットですけど、アオイさんは魔力、カナさんは力、レナさんは素早さが強化されます。魔力を少し通す必要がありますが、みなさん魔力はありましたよね?」


簡単な生活魔法なら3人とも使ってたから、問題ない筈。


「うん、使えるよ。どうやってやればいいの?」


「少しで良いので、ブレスレットに魔力を通して下さい」


「こう? うわっ! なんか速くなった!!!」


レナさん、もう動きが残像でしか分かりませんよ。


「剣が軽いです」


「魔法もかなり強化されてる!」


「強いとは聞いてましたけど、身を守るものは多い方が良いと思いまして。一度だけですが、ダメージを無効にしてくれる効果もあります。ただ、無効にしたらブレスレットは壊れます。壊れたら教えて下さい。また作ります」


「え……すごくない?」


「マジックバッグは、ベルトポーチ型なら割と出回っていましたから、アオイさん達が持っていてもおかしくないと思います。容量は普通なら部屋ひとつ分くらいですが、これは無限なので使う時は周りに注意して下さいね。僕が作った事は、内密でお願いします。マジックバッグを売る時はダン親方と相談したいので。ブレスレットは僕が今出来る技術を全て注ぎ込みました。どうかご無事に帰って来て下さい」


「マイス、ありがとう!」


「良い物をありがとうございます」


「帰ってきたら、販売の相談するからねっ!」


「はい。いってらっしゃい。気をつけて」


「キヲツケロ」


「「「マイス(さん)キュビちゃん、行ってきます!」」」

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