第121話 この剣は守るためにー2

◇灰視点

 

 時間は少し戻る。


「じゃあ行きます。アテナさん……」


「はい。ご武運を」


 久遠の神殿を後にして俺はライトニングを発動させる。

飛ぶ先はハオさんの元だ。

もともとA級キューブの攻略に来ていたおれは胸騒ぎをしながらもA級キューブを攻略したことを報告しにった。


「戻りました、ハオさん」


「──!? 灰さん! よかった!! ずっと待ってたんですよ!!」


「ん? 何かあったんですか?」


 ハオさんの態度からすると何か焦っているようだし、闘神ギルド本部の中はとても慌ただしく感じた。


「S級キューブの崩壊です! 中国、米国、日本!! 王さん達は今その対処に!! 日本も今とても危険な状態です!! 銀野レイナさんが、長崎で龍と対峙しています! ニュースを!!」


「──!?」


 アテナさんが胸騒ぎがするといっていたのはこのことか。

俺は大画面に映るニュースをみる、そこにはレイナが戦っている姿。

俺は即座にライトニングを発動させようとする。

するとハオさんが俺に近づいた。


「一応、伝えておきます。灰さんは我が国のギルドの所属であり、有事の際はその力を貸してもらわねばなりません」


「で、でも!」


 そうだ、それが契約だった。

俺は王さん達の後ろ盾を得るためにこのギルドに入ったし、その契約は確かになされた。

S級キューブが崩壊したとき真っ先に対応するということを。

でも今は俺の大事な人が、いや、王さん達も俺の……


 俺が思考の袋小路に入りかけた時だった。


「それを踏まえて王さんからです」


 するとハオさんが俺の胸についている闘神ギルドのバッチを外す。


「クビだ。さっさと国に帰れ。だそうですよ」


 そういってハオさんはにっこり笑って俺の背中を押してくれる。


「大丈夫! 我が国も米国も軍事大国です! そう簡単にはやられませんよ! だからあなたはあなたの守るべき人を! さぁいって!!」


 俺はハオさんを見て頷いた。

申し訳ない、俺はいつもみんなに守ってもらってばかりだ。


 俺は体に雷を帯電させる。

想像するのは銀色の少女、彼女が戦っているであろう、龍との戦場へ。


「──ライトニング」


 そこは地獄だった。

レイナは泣いていた。

攻略者達は死んでいた。

俺が遅くなったせいで、たくさんの人が死んで、今も死にかけて。


 だから俺は新しい力を発揮する。

今できる俺の最高の力を、ミラージュ君から、ライトニングさんから、そしてランスロットさんにもらった光を。


「──最優の騎士」


 俺の体を白き見えない鎧が包む。

俺の真覚醒のスキルの一つ、そしての力はステータスの上昇とスキルの進化。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

属性:スキル

名称:最優の騎士

効果:

・自身の全能力+30%

・騎士系スキルが一段階上昇する。(ミラージュ、ライトニング)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 これにより、俺のステータスは変化した。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

名前:天地灰

状態:良好

職業:神の騎士【真・覚醒】

スキル:神の眼、アクセス権限Lv2、心会話、最優の騎士、真・ミラージュ、真・ライトニング

魔 力:1000000

攻撃力:反映率▶75(+60)%=1350000

防御力:反映率▶50(+60)%=1100000

素早さ:反映率▶50(+60)%=1100000

知 力:反映率▶75(+60)%=1350000


装備

・龍王白剣=全反映率+30%

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 100万の大台、そしてステータスが彩の30%と最優の騎士の力で30%。

つまり合計60%の上昇。

反映率は真覚醒は合計250%になるように設定されている。


「まずは……全部救う! 真・ライトニング!」


 発動させるのは初めてだ。

それでもステータスから詳細を見ればスキルの内容は分かる。

そしてこの力は本当の力を発揮した。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

属性:スキル

名称:真・ライトニング

効果:

・視界内であればどこにでも稲妻の速度で移動可能。(失敗時:CD1秒)

マーキングした相手に対しては、視界外からでも対象の影の上に稲妻の速度で移動可能

※マーキング:対象(生物)の影を一度踏む。

・触れている物体も同時に移動する。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


 真・ライトニングの力はチートだった。

俺は視界内であればいくらでも稲妻となって移動可能となる。

影という制約がなくなった俺はもはや視界内すべてを移動可能の雷神となった。


 その力で俺は倒れている攻略者次々と病院へ転移させる。

レイナだけは、ここに戻るためにマーキングした対象として待っててもらった。

すぐに助けたいが、彼女の強さを俺は信頼している。


 それに攻略者は100以上いるので少し時間がかかる。


「ギャァァァ!!!」


 その時俺を見ていた人型の龍が叫びをあげた。

音速を超えた速度迫る。

だが今は避難を優先させる必要がある。


 だから俺はもう一つの真の力を発動させた。


「真・ミラージュ」


 ライトニングは戦闘特化、しかしこの力も使いようによってはライトニングすら凌ぐかもしれない。

本来は見えなくするだけの力だが、真の力を得たミラージュは本当の意味を理解する。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

属性:スキル

名称:真・ミラージュ

効果:

・自身より知力が低い相手に有効な透明になる鎧を帯びる。

・自身と全く同じステータスを持つ幻影を一体だけ作り出す。(スキルは使用不可)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「──ギィ!?」

「少しそいつと遊んでろ。頼むぞ」


 俺の幻影が現れて俺のステータスと剣技をもって、人型の龍と対峙する。


「──俺」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る