第4話 煙る夜明
愛慾に濡らした身体が再び熱を放つ…人魚は天使の思惑通り湿った声を漏らす。
幾度も重なりあった肢体は互いの熱を知りつくし…絡み合う体温は水気を放って徐々に煙り、快楽の波間を漂いながら深みへと辿り着く。張りつめた下肢に孕んだ膨らみは潤いを帯び…天使が貪るための禁忌の果実へと姿を変えた。
焦がれるように触れ合い
潮の満ち引きの如く求め合う
氷のように透き通る恋慕を募らせ
鈍色だった甘露は真珠色の愛慾へと成り変わり
曇硝子に覗かせる僅かな嫉妬を…滑らかな肢体から吐露する度に真珠色は光沢を増す
その全てが『君』を
揺れ弾ける白く
『未だだ…俺の下で足掻き続けてくれ。』
狂気染みた感情が天使の腹の中で渦巻いていた。このまま思えようにはさせない…果実の奥底を突く激しい刺激と快感に辿り着くまで…人魚の全てを明かしてしまいたい。本能を
果肉の表層から中心まで
清らかだった柔肌は…華奢な肢体を取り巻く糖蜜によって淫猥な光沢に溺れていた。更に下肢はより一層…際立つ愛撫の
「はぁ…」
思わず一息漏らすと顎回りの汗を拭い去り、鋭く彼女の下肢へ視線を落とした。
今まさに、天使の眼に映っているのは限界を迎える寸前の恍惚に酔いしれる人魚の姿。その身体を伝う己の欲望は普段の冷静な彼女を見事に溶き崩しており、はだけきった胸が吐息に
押し寄せる刺激の波に彼女は激しく身悶えし、喘ぐ声を抑えることなく彼の欲にまみれた糖蜜を甘受した。果実の奥を激しく突く度、湿った果肉の擦れ合う音が微かに響く。彼女の柔らかく
瑞々しく
満月の夜に訪れる逢瀬は
色濃く交わる夜と朝の狭間で
静かに煙り始める濃霧と共に…
愛慾に濡れ眠り着く二人の瞼はそっと綴じられた。
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