第3話 欲にまみれた細胞
小さな息遣いが重なり合う
細く糸を垂らした
其処だけ僅かに冷えながら滴り落ちる
白堊の床に
艶を帯びた唇は微かに熱を漏らす…と密になっていた懐を緩く
『今宵、月満ちる頃に…』
部屋の隅から
満月の帳に
人魚は涙を湛えた目を細めては、髪をすく彼の手にそっと触れる。小さく息をつくように少しずつ首を起こし、やがて蜜色の瞳を丸く見開いた。
レースカーテンを
冴えた瞳は
すっ…と色白の手が伸びる。
唇から溢れそうな声を噛み殺そうとするが…端々から熱い吐息が漏れるのを隠しきれず、紅色は一層艶めきを増していく。身を
見かねた天使は、彼女の張りつめている
足掻くこと虚しく、
『熱いっ………』
溢れる…零れる…溺れる
身体が跳ねる度、僅かな抵抗を交えた嬌声が響き渡る…次第に甘い湿度で白堊の部屋を満たしていく。微かな二人の体温を感じられる程…至る所まで…愛撫の熱がうねりを伴って浮游する。
身体の奥に秘められていた愛慾が暴かれてしまう…彼の貪欲な導きに抗うことなど叶う筈もない。
人魚は成す術もなく、満ちる月の下で
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます