第4話 終幕

―――少し寝ていたみたいだ。

陽が少し傾いてきている……。

ボクらが寝ている間に村まで帰ってきていたおばちゃんが、車で街まで送ってくれるという。

村を出ればもう危険はないはずだからと。

おばちゃんは、村を出て街へと続く幹線道路へと車を走らせる。

車の振動と、やっと解放されたかという安堵感に身を任せて、流れゆく風景を見ている。

まっすぐな下り坂を通り、やがて丁字路にさしかかる。

方向指示器にカッチカッチという音を聞き流しながら、車は左へと曲がってゆく。

さらに道は下り、ぐねぐねとまがる山道を走ってゆく。

陽射しは大分傾き薄暗くなってきていた。


やがて大きな工事現場のような場所の丁字路に出る。車のとおりも多いので、これが幹線道路なのだろう。

下りカーブで見通しが悪い。

進行方向には、見たこともない薄青い2連結の大型バスが止まっている。

おばちゃんの車はその後ろに並ぶ。


不意に後ろで、なにか硬いものに衝突するような大きな衝撃音が響く。

トラックがコンクリートに突っ込んでいた。

そして爆発炎上する……。


そこは、ほんの数秒前まで、ボクたちがのっている車がいた場所だった。

青いバスがもう少し後ろだったら、ボクたちは車ごと潰されていただろう。


続けて大きな衝撃音と何かが折れる音が聞こえた。

さっきのトラックの少し向こう側のカーブの壁の切れ目に別のトラックが突っ込んでいった。

更にそのあとに続けてコンクリートミキサー車が突っ込み、崖の下へ消えてゆく。


一体なにが起きているのか状況が理解できない。

そしてボクはみた。

前に居た青いバスが、スーッっと目の前で消えていくのを。



――――――――

今回の最初の夢はここまででした。


最初から最後まで本当に意味がわからないけど。

夢で同じ場所に二度くるというのは滅多になくて

同じ夢を見ることはあっても、同じ場所で違う夢を見るのは希少な体験でした。

というか、ほんとに怖かった。

汗びっしょりで目を覚まして、思ったよりパンツが濡れていたので

一瞬漏らしてしまったかと思ったくらいに汗びっしょりでした。

(漏らしてません!)


ともかく、目覚めから疲れてたので二度寝を決め込んだら

更に続きを見ました。



――――――――

二度寝の夢


事故現場は、高速道路の高架を作っている山の中の場所でした。

警察を呼んで事故の状況報告をしてから。

大分時間がたってしまったけども、そこから山を下る分には、もう大きな事件は起きなかった。

山を下って大きなショッピングモールに寄ってもらった時。

おばちゃんがリサイクルゴミを回収箱にいれていたのは、ちゃっかりしているなと思った。


そのあとご飯を食べて、屋上駐車場へ戻るときに、後ろにいた不審なおじさんが少し気になったけど、何かしてくるわけでもなかった。


エレベーターを待つ間に、おばちゃんは何か飲み物みたいなのを手にしていたんだけど、エレベーターに乗って、降りるときには手に持ってなくて。

「おばちゃん、さっき飲み物持ってなかったっけ?」っと、おばちゃんに教えると、

「あら!?いけない!ちょっとまっとってくれん?探してくるけん!」

「エレベーターに乗る前に、台か何かに置いた気がするから、そのまま忘れたんかもしれん!」

っと、慌ててエレベーターに戻っていった。


ボクたちは少しおくれて、階段で下の階へ向かい

エレベーターを降りたところで口論しているおばちゃんと、さっきの不審なおじさん。

そして空っぽになった飲み物の容器を目にした。

「これ、そういう状況?」

あの不審なおじさんは何者?おばちゃんのストーカーかなにか???

謎すぎる。


そして誰かが呼んだのか、警備員が来て仲裁をしてもらって。

結局不審なおじさんは、おばちゃんの飲み物を盗んだ事を白状して警察に連れていかれた。


これもこれで訳が分からないけど、おばちゃんにとってはとても大切なモノだったらしく

お薬か何かなのかな?くらいしかわからなかったです。


――――――――

前回みた時の夢は、記憶に強く残らないくらいには平凡で

今回は亡くなっているらしい父と一緒にあの場所へ行き

その時は何もなくて、普通の田舎の土地を買ったから様子を見に行ったっていう

ごくふつうの平和な夢だったのです。

よくある田舎、のどかな風景、夏の風景。樹木の緑と青空と白い雲。まぶしい陽光。

観光でならいいけど、もう住むのは嫌な山奥の田舎の風景。


ただ、そのあとに、健康だった父が亡くなったというのだけが

今回の夢の冒頭で回想シーン的な感じで含まれていて。

おそらく、あの山の神だか呪いだか物の怪だかわからないヤツの仕業だったんじゃないか?

と、あとから思わせられる話しになっています。

真相はわたしにもわかりません。

夢なので……。


わたしのこういう起きても記憶に残る夢って

ただ見せられるだけの物語みたいなもので

わたし自身が何かを変えたりは出来なくて

先の展開もわからないし

物語としての整合性みたいなものとかも沢山あると思う。

それだけに、毎回思う。

これはどこか違う時間軸、世界で実際に起きた出来事なんじゃないかって。

忘れないこととか、たまに見る「続き」とか。

二度寝だとより直近の続きになる事とか。

時間の連続性の不可逆性も気になっています。


今回は固有名詞も出てこないし、妹の顔や名前すらわからない。

歳はそんなに離れてない、中高生くらいの妹。かわいい妹。

自分の一人称「ボク」だけど男の子とは限らない。

自分の車は、色は白で、車体は四角さが目立つから、昭和後期か平成初期くらいじゃないかと思う。

わかっているのはそのくらい。

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夏の終わりと高楼の夢 齋宮 久遠 @Kuon_Saimiya

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