間章 その④
「これで、戦いは終わったの?」
少し緊張した面持ちでカントが祖母に尋ねると、
「カントはどう思うんだい?」
逆に祖母が質問してきました。
「んー……」
と考え込むカント。
「とーぜんでしょ! これだけコテンパンにやられても分からなかったら、バカよ。バカ!」
とアルモニカ。
「ゆーしゃさまたちがちゅうした。しあーせにくらちまちた?」
ピエッサは目の付け所が違います。
「僕だったら……」
「うん」
「また攻めて来るんじゃないかと思う」
「カントはばかね。おおばか。これだけやられたらもうせめてくるわけないじゃん」
「そんな事ないよ。だって、あんな直ぐにすごい数の兵士を用意できるんだから、また同じように兵士を集めて来るかもって考えたっておかしくない」
「カントはかんがえすぎのおばかさんよ!」
「「どうなの、おばあちゃん!」」
二人のやりとりを微笑ましく眺めていた祖母は、急に話を振られて少し目をパチクリさせています。ですが直ぐに不敵な笑みを浮かべます。
「その答えは次のお話さ」
「じゃあ、はやくはやく!」
「それよりも、そろそろ時間だけれど、お願い事の準備は良いのかい?」
「もちろんだよ」「あっ、わすれてた!」「うー!」
それぞれが用意した願い事を書いた紙を飾り付ければ準備は完了です。
何と言っても今日は特別な日です。
大人たちにとっては何回目かの、子供たちにとっては初めての、星降祭なのですから。
椅子を窓の傍に移動させ、子供たちを座らせます。
窓から見える澄み渡った冬の夜空には、星がキラキラと光り輝いています。
スーッと一筋の光が夜空を横切ったかと思うと、夜空を彩る光の筋がどんどんと増えて行きます。
「さ、星降祭が始まったよ。しっかりお祈りしな」
「「「うん!」」」
子供たちは素直に窓際の椅子に腰掛け、一心不乱にお祈りしています。
大人たちはその様子を微笑ましく眺めながら、静かに祈りを捧げます。
皆の祈りが届いたのかどうか、それは定かではありませんが、今回の星降祭も夜空を埋め尽くさんばかりの流星雨となりました。
「お願い事、叶ったかなぁ」
「わたしのはかなったにきまってる!」
「きまーてう!」
「よしよし。ちゃんとお祈りが出来た良い子たちには、ばあちゃんがお話の続きを聞かせてあげよう。さ、窓の近くは冷えるからね。こっちへおいで」
祖母に呼ばれ、三人は椅子を持って暖炉の傍へ移動します。
準備が出来るのを待って、祖母は語り始めます。
「星を降らせ、見事魔軍の大艦隊を打ち破った勇者様達は──」
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