間章 その②

「どうだったね。おじいさん」

「二人の初々ういういしい感じが伝わって来て、とても面白かったよ」

「そうですか。それは良かった」

 希望通りの話が聞けた祖父は満足そうにしています。

 長女のアルモニアと次女のピエッサも、二人の初めての出会いに胸をときめかせています。長男のカントだけは少し退屈そうにしていました。早く勇者様達が悪の軍団をやっつける話が聞きたい。そう顔に書いてありました。

「それじゃあ次はどの話をしようかね」

「はいはーい! おひめさま! おひめさま!」

 アルモニアが強く主張します。

「えー。勇者様たちが悪者をやっつけるところがいい!」

 負けじとカントも主張します。このままではまた退屈な話を聞かされそうだと思ったのでしょう。

「おにいちゃんはだまってて! ぜったいおひめさま!」

「だめ! 勇者様たちが大活躍するお話が良い!」

「「う~~」」

 と睨み合う両者。互いに主張を譲りません。

 祖父母は二人がどう決着を付けるのか、黙って見守っていました。

「「ピエッサはどっちがいい!」」

 第三者に委ねる。それが二人の結論でしたが……。

「ふたい(り)のこいばなな(が)いい」

 全くかみ合いません。

 少し離れた場所で話に耳を傾けていた父親が、見かねて助け舟を出しました。

「はあ。お姫様と勇者様達が大活躍。丁度良い話があるだろう。思い出してみなさい」

「え~……あっ!」「そうだ!」

「「きたのとりで!」」

 ピタリと二人の意見が一致しました。

「決まったね。それじゃあ話の続きをしようか──」

 話の前に祖母は父親を一睨み。余計な事を言うんじゃないと視線で釘を刺しました。

「初めて目にしたその砦は、もう壁と言った方が正しいのではないかという程の威容を誇っておった──」

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