アイドル転生――ライブ中に銃殺されたアイドルのやり直しの物語――

ググる

第一話 ステージ

 


    ※連続投稿いたします!!




プロローグ 


夏休みも後半戦にさしかかり、世間は秋支度を始めているある週の日曜日。ひぐらしが鳴き始める夕刻、東京のとあるドームでそれは行われていた。来場者数は6万人近くにも及ぶ記録的来場者数を誇り、ドーム開場前から大蛇の列を作りその模様はテレビでも取り上げられるほどだった。


「まさに現世に舞い降りた天使!」


「天然金髪、澄み切った空色の眼、そして透き通る白い肌」


「日本男子なら誰もメロメロになるその容姿はまさに現代に舞い降りた天使!」



ナレーション:


――「さぁ続いては、今話題のアイドル!

    宮家アスカ(みやけあすか)ちゃんの登場だ~!」


ナレーションのかけ声と共に、5万人弱もの観客の熱気は最高潮に達していく。

そこへ、彼女は姿を現した。


「「「オオーーーーーー!!! オオーーーーーーー!!!」」」


「「ASKA~~ASUKA~~

       A・S・K・A――ASKA(アスカ)――」」


――ステージ全体がASKAコール一色になる――


観客の歓声はドームの中を地響きのごとく響かせていった。


今時、珍しい、単身アイドル「鈴守アスカ」。

彼女は三人組ユニットのアイドル「S.K.Y(スカイ)」の元メンバーで解散後は単身でアイドルを続けており、単身デビューから半年で某アイドルグループ48や某坂48などのグループにも匹敵する人気を集める。その最大の理由は天使のごとき美声と細身の美しい容姿だ。歳は27歳とアイドルと遅咲きにも関わらず、その声と可愛らしい容姿に誰もがトリコになっていった。もちろん俺もその一人だ。

でも、俺が惹かれたのはそこじゃない。彼女の経歴に眼を惹かれたのだ。

――彼女は約10年もの間、地下アイドルとして下積みをしてきながら、 諦めずにトップアイドルの座を掴んだ、その根性と見た目とのギャップに惹かれたのである。


そんな彼女の3時間に及ぶライブも終演へと近づき、残り1曲を残すまでになっていた。


ナレーション:

――「皆さん、とても悲しいことに、いよいよ残すところ一曲となり、この楽しい3時間もライブも終わりに近づいてまいりました。最後の曲に入る前に、鈴守アスカさんから皆さんへ一言、伝えたいことがあるそうです。では、、どうぞ!」


ナレーションが終わると、ステージの中央に彼女は純白のドレスに身を包み登場した。


「皆さん、突然ですが私こと(鈴守アスカ)は、このステージを最後に引退します。」


突然の引退スピーチのドーム中が静まりかえった。それはスタッフ陣も例外ではなく、ナレーションに至っては声がマイクにこぼれるほど動揺していた。


動揺は観客へも伝わり、一人の男が声を荒げた。


――「そんなのあるかよ!!ふざけんじゃねーよ!!!」


そしてその声は周りに伝染し、次々と声をあげるものが現れた。いつしかそれはドーム中に響くほど大きなものとなっていった。



――そんな中、一発の発砲音が鳴った。


「銃声音である」


その直後、人が倒れる音がマイクにより、ドーム中に響いた。「彼女である。」


彼女はちょうど、ドームの中央の舞台に来ており、引退を発言した後の出来事だった。


次の瞬間、「きゃーー!!!」の悲鳴があがり、その悲鳴と同時に観客たちの心へ恐怖が駆け回った。もうそこからはあまり覚えてない。人の波に抗うことに必死で。



警察:それで、犯人の顔などは見ませんでしたか?

俺 :いいえ。

警察:そうですか。 これで聴取は以上です。ご協力感謝いたします。

俺 :はい...


事情聴取を終え、テントから出るとマスコミなどが詰めかけドーム周辺は大混雑しており、マスコミの手は俺にまで及ぶほどだった。そこから後のことは記憶にない。

その日、俺は、心が闇へ歩み出す音を聞きながら帰路についた。


 ――翌日からこの出来事は多くのマスコミで取り上げられ、テレビでは連日連夜この出来事に放送されこの出来事から一週間後、彼女が亡くなったことが報じられた。


その日からだ。この世界が狂(おか)しくなったのは!!





【あとがき】


この度はご観覧いただき誠にありがとうございます。

今回が初めての執筆となるため誤字や言い回しに不備が多々生じるかもしれませんが何卒暖かい目で見守って頂けると幸いです。


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