第3話
そうして今に至る。
真っ暗だと思っていた通路の先には、やはり小型のバギーロボットが1台通れるほどの通路があり、人感センサーでも作動したのか、常夜灯のようなほの明るい照明が点々と点いた。
「
「
「ちょっとロイ! あなた、今何貼ったの?」
「ん……蓄光ステッカー。貼って剥がせるタイプだから、問題ねぇよ。それに、新規発見の鉱山を進む時は、帰り道を見失わないためにある程度のマーキングはしながら進むもんだからな」
「本当にあなたって人は……」とロイの相棒の女性――リア・アイボリーフィールド――は思った。
しかし同時に、「今日組まされたのがバランでなくて良かったわ」とも思っていた。
アルデバランは、彼女やロイジウスの数期後輩だ。真面目で努力家であるのが取り柄だが、養成所生時代は「ヴェラーバード(成績最下位の罰則常連組)」と呼ばれる落ちこぼれだった。
実際、未だにドジを踏んで周りに迷惑かけることも少なくないのだが。
一方、リアが何を思っているかも知らず、ロイジウスは、「思ったより眩しいな……、けど、シルべを探すんなら、これくらい明るいほうが楽か?」とスタスタと先に進んでいこうとする。
「ちょっと待ってロイ!」とリアは小走りでロイジウスの後を追いかける。
「どうしてそうツカツカ進もうとするのよ?」
「……あぁ。これが新規開拓の坑道なら、あちこち気を付けなくちゃなんないから、慎重にはなるだろうけど、ここは人工的に作られた通路だからな。それに『いつ壊れるか分かんねぇボロいカンテラロボット相手にしなくても良い』ってところも追い風になってんのかな?」
ロイジウスは元鉱夫だ。本人曰く、『ガキの頃に知らない男たちに捕まって、気付いたら小惑星帯の鉱山で働かされていた』とのことだ。
そして彼は10年ほど鉱夫として過ごし、「たまたま」彼の働く鉱山が違法労働を摘発された際に保護され、特例として養成所への入学を許された。現在は宙路警備隊として働く傍ら、生き別れた家族の行方を探している。
あとになって分かったことだが、彼やリアが幼少の頃に、違法な貸し付けや取り立てを行う悪質な金融業者が横行しており、おそらくロイジウスも両親いずれかの「借金のカタ」として売り飛ばされたのだろう。
過酷な少年期を過ごしたせいか、感情の起伏をあまり見せないところが璧に瑕だが、今日のように入り組んだところを探索する上では彼以上の適任者はいないだろう。
一方、リアの思いも知らないロイジウスは、『リアのやつ、ちゃんと付いて来てるかな?』や『細いパイプがいくつか走ってるから頭上注意だな』など、かつての経験を
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