第13話 教会
教会って俺、行くこと……ある?
……っって、言ってたばかりじゃん俺!!
なんで今、
解っていると思うが俺は今、教会ってところにいる。
俺の名前は結局、行方不明者のリストの中には無く(当たり前だと思う。だって俺、別世界の人間だし……)、身分を確立できない俺は、
本来ならその手続きは本人が裁判所に出廷して行わなければならなかったらしいが、レナードが代理で全ての手続きを(強行で)行ったようだ。
なんでも、俺が詰所へ行った日に色々と騒動があったらしく(何があったかは聞いていないんだが)、俺はその後、レナードの屋敷から出して貰えなくなったんだ。
そんなに重大な事件が起こっていたのか?その割にレナードは毎日夕方には屋敷に戻って来てたけど……。
まあ、俺といえば何の不都合(言葉がバグるとか)も不穏な事(盗賊に襲われるとか夜這いされるとか!)もなく穏やかな二日間だった。
――多分、
で、そんな俺が退屈だと思ったのか(別に退屈でもなんでも無いが)、今朝レナードが突然教会行きを企てた。
というか、教会へ行く事は前から決まっていたようだが、何故か俺も同伴することになったんだ。
この国では毎月、家族の亡くなった日にちに礼拝へ行く慣わしがあるらしい。本来なら神官の朝夕の祈りの時間に合わせるらしいのだが、できるだけ人気のない時間が良いだろうと(ナゼだ?)言うレナードが昼過ぎに行くことを決めた。
詳しくは聞かなかったけど、どうやらレナードの御両親はもう他界されているらしい。
だからこの屋敷、レナード以外使用人さんしか居なかったんだ……。
俺の両親は健在だけど……。一人息子が行方不明って知ったらどう思うんだろう……。
胸がチクリと痛んだ。
そんな訳で昼食を済ませると、レナードに世話され馬車で教会へ行くことになった。
今日の俺の格好は若草色のシャツにジャケット様の上衣を羽織っている。一応教会なのでフォーマルにと言う事か…。
そうそう、でもスマホはちゃんと持っていかないとね。例え充電なくても(多分)、身近に無いと気になるんだよね。
重厚な扉を開けた途端(分厚くてデカい割にこれがまた軽く開くんだ。どんな原理なんだ?)に広がる内部は、想像以上だった。
とにかく広い広間の両脇には、薄っすらと青味のかかった石材で造られた柱が豪華な彫刻を施されて並んでいて、壁際に掛けられたカーテン(て言って良いのか?)は天井部分から吊るされているんじゃないかって位上から、分厚いドレープを重ねていた。
多分アレを開けたら豪華なステンドグラスか何か出てくるのでは?
中央の壇上の背後にはこれまたゴージャスな彫像が立っていて(多分アレが神様ってこと?)説教壇は金ピカに輝いた燭台他、よく解らないけれど装飾の施された金色のモノが所狭しと並んでいる。
間違いなく、数日前に行った
まあ、東大寺でも創建当時は大仏も煌びやかだったとか建物が荘厳だったとか言ってるから、そんな感じなのかね……。
俺は地味〜なお寺しか知らないから、何だか違和感があるけどさ。
室内は大理石様の石で磨き上げられた床に燭台の明かりが反射しているお陰か、思ったよりは明るかった。
そんな中、黒いローブを着込んだ神官がしずしずと歩いている。レナードが言っていたように、人影は疎らだった。
「どうかしたのか?」
目立たないようにと、控えめにキョロキョロ見回している俺に、レナードが声を掛けてきた。
何か田舎モンが来たなぁ、なんて思われたくないからさ、でもごめん。逆に不審だった?
「…俺、教会なんて来たこと無いから良く判らないが、何か人の服装と内装のギャップがね……」
あ、ギャップって解ります?
「…ぎゃっぷ?」
「あ、えっと、差が激しいな…って。
ほら!部屋とかやたら煌びやかな装飾品が多いのに、教会の人が着ている服は質素だろ?」
「あぁ、
「…それにしちゃ、この建物は……」
外観は彫刻も少ない、石を切り出した跡がそのまま残るような壁が続いていたが、中身は豪華な彫刻の施された柱や縁。いかにも高価そうな金ピカの調度品にゴージャスな神様?
「流石に被服まで金をかけたら、国民からの信頼は完全に無くなるからな」
耳許で囁かれた。
それって、宗教としてどうなの?
「俺は奥の祭殿に用があるから、お前はここで待っていろ」
レナードは俺の頭にぽんっと軽く手を置くと、スタスタと奥に続く廊下へと歩いていった。
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