第26話 ブルーデイの妄想
桜花に通い始めてから初めての休日。
ここ最近、体調も優れずに鬱鬱とした日が続いていた。
いつものように目を覚ましたけれど、今日はなんだかいつもと違った。
ここ数日以上に重い体を起こす。
掛け布団を退けてベッドから出ようとしたら、飛び込んできた光景に私は絶句した。
昨日変えたシーツが血の海になっていた。
え?何これ。
わけがわからなかった。
今までこんな事はなかったし、そうゆう知識は頭の片隅にはあったけれど、実際いざ起こると何をどうすればいいかわからない。
私より少し早く起きて軽く身支度をしていた美紀さんが起きた私に気がついていつものように二段べットの上まで顔を出してくる。
「おはよ、麻琴ちゃん。あっ…麻琴ちゃん大丈夫?」
私と惨事に気がついた美紀さんに声をかけてもらうが、返す言葉が見つからずに起こした体を再びベッドに預ける。
「と、とりあえずお風呂行こうか、そのままだと気持ち悪いし、冷えて風引いちゃうかもだし」
美紀さんに助けてもらい大浴場に行く。
体まで洗ってもらいながら、回らない頭で呆然と『これが生理か…』と考えていた。
体がさっぱりする頃には幾らかの正気を取り戻し、美紀さんからナプキンの使い方だとか、その日の過ごし方だとかレクチャーを受けていた。
痛み止めを飲んで、普段美紀さんが使っている1段目のベッドに横になる。
相変わらず体はダル重いし、ショーツの中は不快だし、胸は張って息苦しさを感じるし、気に入っていた白地にピンクの刺繍のショーツは犠牲になるし、何もかもしんどかった。
痛み止めが効いて、寝ることが出来たから、幾らか楽になった。
こんなのが毎月来るなんて普通にしんどい、憂鬱だ。
そして何よりも、祥太郎さんに知られたくない…。
その位なんだか恥ずかしい。
まぁ、派手にやらかしてしまったのでその内耳には入るのだろうけど…。
鈍痛で一周回って空っぽな思考回路で彼のことを考える。
彼との今後を想像する…。
彼と一緒になって。
彼との間に子供をつくって。
その子がいずれ新しい家族をつくって。
彼と一緒に老いていく。
きっと、楽しい事だけじゃ無い。
もしかしたら辛いことの方が多いかもしれない。
まだ、彼の事が『好き』かとか、わからない。
いや、『好き』なんだと思う。
少なくともあの日、手を差し伸べてくれたあの日から。
熱に浮かされた妄想を頭の隅に追いやって、もう一度眠りに着く。
ニヤけているのが分かる。
こんな状態でも、あんな経験をしたけども、少なくとも今、私は安らかなんだと思った。
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