第3話 苦痛の果実
孤児院で過ごし始めて一週間がたった。
五十嵐さんはとても優しくて、高校にも事情を説明してくれた。
彼なら信頼できると思い。この数日間あったことを全部話した。
急に女になってしまったこと。
家を追い出されたこと。
勝手にバイトを辞めさせられていたこと。
母が死んだこと。
彼は真剣に俺の話を聞いてくれた上で
「よく、頑張ったね。」
そう、声をかけて頭を撫でてくれた。
部屋と新しい服を用意してくれた。
久しぶりにベッドで寝ることができたし、孤児院の子たちもいい子ばかりだった。
ただ、女性用の服や下着を一緒に買いに行ったのは恥ずかしかったし、未だに慣れない。
五十嵐さんのおかげで新学期が始まる頃には孤児院の生活にも慣れ、掃除や洗濯、料理なんかも手伝う余裕ができた。
ただ、学校では事情を説明されたクラスメートから嫌がらせを受けるようになったのだが…。
「ケンちゃんが私のミートボール取ったー!」
「ミカが食べるのが遅いのがいけないんだよー!」
「こら、ケンタお行儀悪いよ」
「わーマコト姉ちゃんが怒った〜」
「怒ってない注意しただけでしょうが」
新しい日常にもだんだんと馴染んできた。
孤児院の子どもたちは私を含めて6人で下は小学1年生から上が俺の高校1年。
元気が有り余ってるいたずら好きの小学3年生の健太
みんなのまとめ役で責任感の強い中学2年生の美香
何かと俺の手伝いをしてくれる小学5年生の修二
大人しく、静かに過ごしている事が多い小学3年生の杏奈
いつも俺の跡をついてくる笑顔がかわいい小学1年生の翔太
それと、院長の五十嵐さんに、俺よりも年上で基本的に夜勤の仕事に出てる恭也さん。
そんな比較的穏やかな生活を手に入れてあっという間に一ヶ月がたった。
一応、教会というだけあってクリスマスには礼拝があり、俺たちもその前準備で忙しくしていた11月のある日の夜。
珍しく俺は夜中に起きた、水を飲もうと台所に向かう途中。その時廊下で人影を見た、五十嵐さんとあれは…美香…?
気になって気づかれないように後を着ける、二人は五十嵐さんが言う「入っては行けない部屋」に入って行く。
閉めるのが甘かったのか部屋の扉が少しだけ空いていて中の様子が確認できそうだったので興味本位で中を覗く。
______そこでは美香が犯されそうになっていた。_________
口を塞がれているのか、苦しむような声が扉の前まで聞こえる。
(美香を助けなきゃ…!)
直感的にそう思い扉を開け放つ。
「一体、何してんだよ」
「おや?一人
「いいから、美香から離れろ」
「じゃあ、君が変わりになってくれるんです?ならないでしょう?だったら早くこの部屋から出て、ゆっくりお休み」
そう言って美香から離れずに行為を続けようとする奴にしびれを切らし胸ぐらを掴んだ。
「もう一度言う。美香から離れろ」
「おやおや、流石は『元』男の子。威勢がいいねですね。そうゆうの嫌いじゃないですよッ!!」
五十嵐は胸ぐらを掴んだ俺の手を掴んだと思ったら、いとも簡単に引っ剥がしそのまま床に組み伏せた。
一瞬、何が起きたか分からなかった。目を白黒させて、気がついたら天井を見ていて五十嵐が覆いかぶさってくる。
「もう、君は『女の子』なんだから、ヒーローごっこなんてしなくていいんですよ。」
優しいトーンでそう言って俺の頬を撫でる。
唇に触れてきた親指に噛み付いた。
「うーん、これはしつけがいがありますねぇ、ここ最近マンネリ気味だったので丁度いいですね」
そう言って五十嵐は服を脱がし始めた。
「辞めろ!
力づくで振りほどこうとしたが既に馬乗りで両腕を押さえつけられている状態から抵抗ができず、あっという間に裸になった。
「威勢が良い割には下の毛は生えてないんですね。まぁ、人それぞれですから気にすることは無いですよ。私は好きですけどね。あぁ、久しぶりに昂りますね。」
そう言って五十嵐は手にローションを取って俺の秘部に触れ始めた。
「少しずつヨクしてあげますから期待してて下さいね」
「ヤダ!離して!退いて!退けよッ!!」
そんな抵抗も虚しくこの日俺は美香の眼の前で五十嵐に朝まで犯された。
痛い。怖い。辛い。苦しい。汚い。
負の感情がループした地獄のような夜だった。
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