ボクは真っ暗で何も無いところにいた。

 寒くて、苦しくて、淋しくて気が狂ってしまいそうだ。ボクはきっとこのまま死ぬのだろう。

 だがこれは、自ら幸せを捨ててまで自由になろうとし、それなのに彼を『被害者』として縛ってしまったボク自身への贖罪。

 だから受け入れよう、死をもって償うとしよう。

 でも、残された彼はこの先どうするのだろう。馬鹿な真似はしないで欲しい。自分自身を責めないで欲しい。

 これは当然の結果なのだから、『犯罪者』として当然の報いなのだから……

 でもできるなら、彼と一緒にこの先の未来を共に生き、添い遂げたかったな。

 そう言えば、あの日彼と出会った夜にボクが何故あんな事を言ったのか今ではよく分かる。

 怖かったのだ。自由になり、様々なところへ行き、様々な人と出会う、だが結局は一人になってしまうことが。

 でもそんな時、同じように一人でいる彼を見つけた。だから思わず接触してしまい、あんな事を言ってしまったのだろう。

 結局私は最期まで、一人では何も出来ない小さなウサギだったのだ。

 だから、せめて生まれ変わることがあったのなら誰かに頼られるような存在になりたい……


 ……生きることを諦めようとした時だった。

 一筋の光が暗闇に差し込んだ。その光は熱く、暖かくこの暗さや寒さを吹き飛ばしてしまう程だった。


 ──こんなところにいたくない。またキミと出会い、そしてあの日の言葉を彼にまた伝えたい


 そうしてボクはその光に手を伸ばし、掴むと暖かい光に包まれるのだった。



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