告白
ボクはこの話をいつしようか、ずっと迷っていた。今の彼との生活は好きだ。たが、この話をしてしまうと言う事は、今の生活を終わらせてしまうことを意味していた。
そしてボクは、今の生活が当たり前になってしまった、このタイミングで彼に告げることにした。しかし、彼に告げる事を決心してからの方が迷いが強くなってしまった。
今こうして彼と対面している状況でも尚、迷ってしまっている自分がいる。
こういう時毎回思ってしまう。
……ああ、自分はなんて弱い人間なのだろうと。
一人で生きようとしても結局は誰かに縋ってしまう。今こうして茲炉の世話になっているのがいい証拠だ。
人は一人では生きられないと言うけれど、こうやってボク自身も彼を頼っている事から、やはりボクも人の子なのだと言う事を嫌でも実感させられる。
だが、いつまでも迷っている訳には行かない。ただ話すだけだが、これはボクに取って成長の一歩なのだ。
こうしてボクは彼に告げた。
「ボクは、『犯罪者』だ」
「……は?」
「ついでに言うとキミはボクに出会った頃から『被害者』になった」
「………」
???
「……悪いけど、そんな急に言われても理解が追いつかない」
「?」
「いやなんでだよっ!普通そんな事を唐突に言われても、はいそうですかってなる訳ないだろっ!」
「…………あぁ〜〜、キミってもしかして馬鹿なのか?」
「んな訳ないだろ。少なくともお前よりは馬鹿じゃねーよ!」
「ムッ、やっぱりキミは失礼な人だな。ボクが一生懸命悩んで告げたことなのに!」
「そりゃ悪かったな。だが、一言目で『ボクは犯罪者』なーんて言われて理解できる人間が何処にいる?!」
「きっといるさ。いいや絶対いるね!」
「いる訳ねーだろ、ブァーカ!」
「キミまた言ったね!一度ならず二度までも、ボクに謝罪しろ」
「嫌だね。お前のように理解できない奴に下がる頭など存在しない。そもそもお前は………」
「そんなこと言ったらキミだって!………」
なんて重い雰囲気なのは最初だけで、その後はいつも通りの私たちだった。
こんな事なら考える必要なかったなと思う私だった。
口喧嘩を始めて約30分経った後、二人とも落ち着きを取り戻し、話を戻すのであった。
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