共犯者
カーテンの隙間から日差しが差し込んでくる。うちのカーテンはどうも日光の遮断性に優れていないらしい。
おかげで二度寝をしようとしても眩しくて寝ることができないため結局起きてしまう。
朝日というのはどうも苦手だ。暑いし、眩しい、目に悪いしで良いと思うことが殆どない。だが、日光を浴びなければ人は不健康になってしまうらしい。全く人の身体というのはつくづく不便だと思う。
などと、意味のないことを考えながら制服に着替えリビングに向かう。
リビングに着くと、一人の少女が椅子にぽつんと座っていた。
そう今座っているのは上沢 水津巴、先日公園で頭のおかしい発言をした少女だ。
結果から言ってしまえば、私はあの後死んであの世……なんてことはなく、ピンピンしてこの世を謳歌している。まぁ謳歌してるどころか朝から憂鬱な気分でしかないのだけれど。
そしてなぜ水津巴がうちにいるのかという、あの夜『死んでくれ』発言をした後、特に何もしてこなかったので帰宅するため歩き出すと何故か背後をついて来たので何故ついてくるのか聞くと、ある程度ご想像の通り帰る家がないらしい。正確には家はあるが帰ることが出来ないらしい。理由はよく知らん、厄介ごとに巻き込まれるのは御免なのであえて聞かなかった。
結局放っておくことができず連れて帰って来てしまったのだ。ちなみに私の家は茶色い外観が特徴な約38坪の一軒家だ。
帰った後風呂に入れると雰囲気が一転して紅眼で病的なまでに白い肌、さらに長い白髪の美しいと言える顔立ちの少女が出てきた。顔は相変わらず無表情だったが。
フード一つでここまで変わるのかと世の中の技術に感心した。そして、フード一つでここまで変わるのであればメイクは更に変えることができるのかと、世の中に絶望した。
そんなこんなで遅い時間であったため寝る場所を与え、私も眠りについた。
──そして現在に至る。
「ふぁ〜、おはよう」
「おはようっ!今日も良い朝だねっ」
と、笑顔で挨拶してくる水津巴。
──良い朝とは何なのだろう?太陽がなくなった世界にあるのだろうか
「ところで、このメイド服は何?アナタの趣味?」
彼女が今着ているメイドを指差しながら聞いてきた。
「ああ、それは数少ない友人が置いてあったものだ。悪戯で私に着せてこようとしたので、ぶん殴ってやめさせたら、仕返しにうちにそのまま置いていったものだ」
「そうなの?似合ってると思うけど?」
「お前も殴ってやろうか?」
──久々に私の拳が火を吹くぜ。
「やめてよっ!暴力反対っ!そういうのが戦争に繋がるんだよ。知らないの?」
「知らん、この程度で戦争を起こすような国は滅べばいいと思う」
──まぁ早い段階で西洋的な考えを取り入れることができたこの国独自の考え方なのかもしれんが
「考えが過激すぎない?それにボクは似合うと思うけどなぁ〜、メイド服」
「……どこが?」
「だってキミの顔立ちって中性的じゃん。それに目は黒色だし、髪の毛に至っては黒に白のメッシュじゃん!絶対似合うって!」
「目は関係ないだろ、それに髪だって……ん?白?
いや黒一色でしょ?」
「いや?白のメッシュじゃないの?」
?????
「……ちょっと鏡見てくる」
「いってらっしゃ〜い」
急いで洗面台に行き、鏡を覗くするとそこには……黒一色だった髪に白が所々上手く混じり華やかさが生まれていた。
「なんて思ってる場合じゃねぇ!てかマジなんだコレ!」
──昨日まではなかった筈だ。……まさかストレスか?自分の知らぬうちにストレスが溜まってて、アイツと訳がわからん出会い方して一気に爆発したのか?
なんて考えているうちに水津巴が私のいる洗面台に顔を覗かせてきた。
「確認できた?ちゃんと白が混じってるでしょ?」
「…………できた」
「ありゃりゃ、相当ショック受けてる?」
「それはもう盛大に」
「まぁ……ドンマイ」
「……慰めるな、惨めになってくる」
「そんなキミにこんな言葉を送ろう……こほん、少年よ、気にするな!……あれ?キミって少年、少女、どっち?」
「……お前ってなに?空気読めない人?それとも馬鹿なの?」
「キミって本当に失礼だね。ボクなりの励ましじゃないか」
「……なんかもう、お前見てるとショック受けてる自分がアホらしく思えてくる。……まぁなってしまったもんは諦めるしないか」
「そうそう人間諦めが大事だと思う」
「…………」
「なんだいボクは何もしていないじゃないか」
「煽ってきたけどな」
「だからそれは…」
「ハイハイ、お前なりの励ましだもんな」
「そうそう励ましなんだ素直に受けれたまえ」
「これって黒に染められるよな?」
「ちょっとっ!聞いてるの?!」
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