第3話 魔法使いの弟子は苦労性【3】
















「くすん。私悪くないのに…………」

「おい、飯はまだか」

「今やってますよぅ!」



 結局天井に吊るされました。

 その後は朝ご飯を理由に師匠に天井から下ろしてもらい、今はその準備中よ。



「はい、どうぞ」

「やっとか」



 今日の朝ご飯のメニューは焼きたてのパンにトロッとチーズをかけてその上に目玉焼き。

 サラダは彩りを気にしながらベーコンやグリーンピースなどを混ぜた、ごろっと食感を残して潰したポテトサラダにリーフレタスとトマト。昨日ベーコンを使い切ってしまったから、いつもと違って今日は焼いたウィンナーで。

 スープは、ホカホカと美味しい匂いが鼻をくすぐるカボチャのポタージュスープ。

 朝ごはんはこれで出来上がり。



「美味しいですか?」

「まあまあだな」



 師匠のまあまあは、美味しいレベルで言ったら高い方なのよ。

 今日は及第点ってところかしら。

 


 そのまま私も席につき一緒に朝ごはんを食べる。

 普段なら師匠は食事中話しかける事は少ないのに、今日は珍しい事が続くようで、師匠から話しかけられた。



「おい、エラ」

「ん!……はい。なんでしょうか」

「お前、そう言えばこの前、十五になったよな」

「ぇ、ぁ、はい」



 なんだろう、この不穏な雰囲気。

 師匠がこんな話し方をしてきたら絶対ろくな事が無い。

 今回も厄介なお使いや頼み事されるのだろうか。



「お前、今日から学校通え」

「はぁ、学校…………、ん!?学校!?」

「手続きはもう済ませてある。荷物も見繕っておいた。あとは今からお前が向かえばいいだけだ」

「ちょっ、ちょっと待ってください師匠! 今なんて言いました!? 今から向かうのどうのこうのって」



 聞き捨てならない!

 思わず椅子から立ち上がった私は、思いっきり机にバンッと手をついて師匠に反抗の姿勢を見せる。

 いつもの無茶なお使いや頼み事ならまだしも、今まで学校なんて通った事なんてないのに今更学校!?



「ちょっと待ってくださいよ! 急に学校って何なんですか!?」

「そのまんまの意味だ。ほれ、荷物だ」

「ぎゃっ! 何!? おもっ!!」



 突然背中に重い何かがくっついて尻もちをついてしまう私。


 おっもーい! 何なのこれ!


 後ろを振り向いてみれば、そこにはめちゃくちゃ大きなリュックが私の背中に装備されてて。



「お前が今から向かうのはウィンターズ魔法学校だ。頑張ってこいよ」

「へっ…………!!!!」



 最後の師匠のセリフの後、私は家の床の上に座り込んじゃっていたはずなのにフッと床の感覚がなくなり、平衡感覚もなくなり、ぐるりと世界が反転していた。



「こんの、血も涙もない冷血腹黒暗黒俺様何様クソ師匠ぉおおおおおおおおおお!!!!

死んだら化けてでてやるんだからぁあああああああああああああ!!!!!!」

「ヒヒィイイイイイイイイインンン!!!!!」



 これで冒頭へと戻るのである。







 

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エラ・ハムウッドと魔法学校 黒飴細工 @knram8

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